キャベツの外葉・芯から新しい価値を!未利用部から生まれる「セルロースナノファイバー」への挑戦

2026.07.30

資源の有効活用

環境 その他

こんにちは。キユーピー株式会社 研究開発本部 サステナブル技術研究チームの須﨑健太です。

私たちのチームでは、卵の殻や野菜の芯など、製造過程でどうしても出てしまう「未利用部」を、新しい価値を持つものへ生まれ変わらせる「アップサイクル」の研究に日々取り組んでいます。今回は、その中でも「キャベツ」に関する新たな挑戦についてお話ししたいと思います。

キャベツの未利用部が、「セルロースナノファイバー」に?

キユーピーグループでは、パッケージサラダやお惣菜などの商品で、年間約3.3万トン(サラダクラブ、デリア食品、グリーンメッセージの2025年度使用実績合計)のキャベツを取り扱っています。その製造工程で発生してしまう未利用部を有効活用するために、社内ではさまざまなプロジェクトが動いています。その中でも私たちが取り組んでいるのは、さらに一歩踏み込んだ「高付加価値な素材への転換」です。具体的には、キャベツの未利用部から「セルロースナノファイバー(CNF)」を作り、食品へ応用することを目指しています。

「セルロースナノファイバー(CNF)」は、植物が持つ繊維(セルロース)を、ナノレベル(1ミリの100万分の1)まで細かく解きほぐしたものです。実は、これほどまでに細かくすることで、驚くべき機能性を発揮するんです。 すでに工業の世界では、木材由来のCNFが「鉄より軽く、鉄より強い」素材として活躍中。自動車のパーツやボールペンのインク、おむつなど、私たちの身近なところで使われています。

世界でも珍しい「野菜由来」の挑戦

しかし、この技術を「食品」に応用する例は、世界的に見てもまだまだ多くありません。特に、現在日本で食品由来の原料として使用されているのは、私たちの調べでは柑橘由来のものが一つあるのみです。「これを、私たちキユーピーグループでたくさん使用しているキャベツの未利用部で実現できないか?」そんな想いから、この挑戦は始まりました。キャベツをナノレベルまで細かくする知見は、社内にはもちろん、世界的にも少なく、まさにゼロからのスタート。そこで、柑橘由来のCNFの研究にも携わられた、愛媛大学の秀野晃大先生との共同研究を開始しました。

学会での発表、そして新しい視点

研究2年目を迎えた2026年、「第33回セルロース学会(7/9-10 府中の森芸術劇場)」(東京都府中市)にて、共同研究の成果を発表してきました。当日、会場では食品分野の発表が珍しかったこともあり、ポスターの前には人だかりが!「食品の未利用部の有効活用」や「キャベツ由来ならではの特性」について、他分野の研究者からも熱心な質問を多くいただき、新しい可能性を確信する有意義な機会となりました。

学会の看板の前で。左から愛媛大学 泉さん(発表者)、秀野先生、私(須﨑)、内村先生

また、今回の共同研究先であり、同じセルロースでもキャベツと全く異なる「紙」の分野を極められた内村浩美先生からキユーピーの研究開発本部メンバーに向けてご講演いただきました。ご講演では、FIB(Focused Ion Beam)法を活用した紙製品の構造解析と開発から、お札の最先端セキュリティ技術について、さらに技術から製品開発への繋げるプロセス・研究への向き合い方などについて、お話しいただきました。異分野のお話でしたが、食品と紙という『素材』の違いを超えて、最先端の技術開発に挑む姿勢やプロセスから多くの気づきを得ることができ、非常に大きな刺激を受けました。

内村先生の講演会の様子。講演会に参加する研究所メンバー

2030年に向けて、野菜を最後まで使い切る

キユーピーグループは、サステナビリティ目標として「2030年までに野菜未利用部の有効活用率90%以上」という大きな旗を掲げています。「もったいない」を「おいしい」や「新しい驚き」に変える。 私たち研究開発本部は、これからも未来の食卓を豊かにする価値を創り出していきたいと考えています。
キャベツの未利用部から生まれる新しい価値に、ぜひご期待ください!

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