健康寿命延伸への貢献

健康寿命延伸の考え方

健康寿命延伸とは、健康上の問題で日常生活に制限のない期間を指します。
生涯健康でいきいきとした生活を送るためには、「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つの柱を意識してバランスよく取り入れることが大切です。
これらは全世代に共通する重要なポイントです。日々の生活サイクルにこれらを複数組み込むことが、健康な生活の実現につながります。
近年、食と健康に関する課題は多様化しており、日本では健康寿命の延伸が重要課題となっています。メタボリックシンドローム予防、フレイル対策、認知症リスク低減、免疫強化など、生涯健康でいるための取り組みが注目を集めています。
キユーピーグループは、ライフステージに合わせ長期的に一人ひとりの健康を支える食生活をサポートし、人々の生活の質を向上させる取り組みを推進することで、健康寿命の延伸に貢献していきます。

平均寿命と健康寿命のギャップ(2022年データ):女性は平均87.09歳・健康寿命75.45歳(約12年差)、男性は平均81.05歳・健康寿命72.57歳(約9年差)、第4回 健康日本21(第三次)推進専門委員会資料より
生涯健康のための3つの柱 キユーピーグループは「サラダとタマゴで一人ひとりの健康を応援します」「栄養(食事・口腔機能)」「身体活動(生活活動・運動)」「社会参加(つながり・地域交流)」の3つの柱で生涯健康を支援(東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢教授 提唱)
キユーピーグループが取り組む健康課題「メタボ」「フレイル」「認知症」+「免疫」

サラダの喫食数向上の取り組み

サラダファーストプロジェクト

健康な食生活を送るうえで、野菜は欠かせません。
しかし、日本では慢性的に野菜の摂取量が不足しています。
また食卓の皿数が減少しており、若い世代ほど少ない状況です。忙しい日々の中で食事が簡略化され、野菜が優先されない現状があります。
この課題を解決するため、野菜だけを無理に食べるのではなく、好きなものやライフスタイルに合わせて野菜を取り入れる「with ベジタブル」の企画を提案しています。
義務感で食べる野菜ではなく、「これを食べたら自分がもっと元気になれる」というポジティブな感覚を持ってもらい、行動変容を促すことで自然と摂取量を増やす食生活をめざします。
サラダのリーディングカンパニーとして、外食、中食、内食すべての食シーンと業態で連携し、サラダの無限の可能性を追求していきます。
2025年度は「プロテイン with ベジタブル」をテーマに、タンパク源と野菜を組み合わせた提案を進め、パワーサラダをはじめとした一皿で満足感のあるメニューを食シーンに合わせて提案することで、野菜摂取の課題に貢献します。

野菜摂取量の平均値推移(20歳以上・2011〜2023年)摂取目安350gに対し全体平均で94g不足しており、総数・男性・女性すべての摂取量が年々減少傾向
好きなモノと、好きなコトと、好きなトキに。with ベジタブル
サラダファースト

キユーピーグループでは、だれよりもサラダのことを大切に考え、サラダの価値を引き出し、おいしいサラダをお届けしたい。
その想いを込めて、2023年に「サラダファースト」というキャッチフレーズを掲げ、サラダの魅力を伝える取り組みを強化しています。

噛むことの大切さを啓発

サラダは噛み応えのある食材である野菜をたくさん摂れるレシピです。食物繊維量が多いほど、よく噛むことが分かっています。
生涯にわたり食事を楽しむためには、噛む力がとても大切です。しかし、「噛む」という動作は、半ば無意識的に行われる運動であり、噛まない習慣が身についてしまっている方にとっては意識して改善していくのは困難です。キユーピーでは“噛むことの大切さ”の啓発を目的に株式会社ロッテと和洋女子大学とで共同研究に取り組んでいます。2022年には、これまで共同で行ってきた食品ごとの噛む回数に関する研究成果をまとめ、ランク付けした「咀嚼回数ランク表」を公開しました。

健康に配慮した商品

キユーピーグループは、野菜をサラダで食べるという新しい食文化の普及に努め、サラダメニューの拡がりとともに成長してきました。これからも一人ひとりの食のパートナーとして、さまざまな世代の食と健康に貢献するため研究・商品開発を行っていきます。

特定保健用食品

  • キユーピー
    ディフェ

機能性表示食品

  • キユーピー
    アマニ油
    マヨネーズ

  • キユーピー
    アマニ油
    ドレッシング

  • キユーピー
    フィッテ

  • キユーピー
    フィッテ
    ドレッシング

低カロリー・減塩対応食品

  • ジャネフ
    ノンオイルドレッシング

タマゴの付加価値化

創業以来、卵の無限の可能性を追求し続けてきました。単なる食材としてだけでなく、卵黄、卵白、殻、卵殻膜など、卵のあらゆる部分に秘められた価値ある機能を発見し、革新的な商品開発につなげています。
卵の可能性を最大限に引き出す研究開発と活用を通じて、お客様の健康で豊かな生活に貢献していきます。これからも、卵の新たな価値を創造し続け、食品業界のイノベーションをリードしていきます。

卵アレルギー研究

アレルギー低減卵の研究

キユーピーは、卵アレルギーで苦しむ人を「ゼロ」にしたいという思いで、国立大学法人広島大学と共に、2013年からアレルギー低減卵の共同研究を進めてきました。アレルギー低減卵は、ゲノム編集技術により鶏卵のオボムコイドを狙って働きを止め、その後孵化した鶏が成長し、交配・産卵することにより作出されます。
2022年度から、国のプログラム「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT本格型)」に参加し、これまで一緒に取り組んできた広島大学に加え、パートナー企業など新たな仲間とともに応用研究をさらに進めています。
食の選択肢を広げることで、卵アレルギーの方にも卵のおいしさや健康価値をお届けしたいという想いのもと挑戦を続けていきます。

「オボムコイドを欠失」狙った遺伝子(オボムコイド)のみ働きを止める(ゲノム編集)→「孵化」オボムコイド遺伝子の働きが欠失した鶏→「成長・交配・産卵」オボムコイドを含まない卵。

オボムコイドを含まない鶏卵の作出方法

卵アレルギーは「食べて予防」へ

食物アレルギーは、じんましんや呼吸困難などを引き起こす病気で、特に卵アレルギーは乳幼児に多いといわれています。これまでアレルギーを引き起こす食品の摂取は避けた方がよいとされていましたが、最近の研究で「離乳早期に少しずつ食べ始めるほうがアレルギー発症予防に有効」であることがわかってきました。キユーピーグループは、加熱などによりアレルゲン性を低下させた卵を用いて、より安全な卵アレルギーの診断・治療および予防につなげる研究を専門医療機関と共同で行っています。卵アレルギーの無い世界をめざして、これからも診断から治療・予防法確立までの支援を継続していきます。

加熱などによりアレルゲン性を低下させた卵素材

加熱などによりアレルゲン性を低下させた卵素材

2016年、国立成育医療研究センターは、卵アレルギーの予防に関する研究成果を発表しました。アトピー性皮膚炎の乳児121人を対象に行った結果、皮膚の治療を十分に行った上で6ヵ月齢から微量の加熱した卵の粉末を食べた乳児の1歳時における卵アレルギー発症率は8%(食べなかった乳児は38%)となり、その有効性が示されました。この結果を受けて、2017年には日本小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が出され、さらに2019年には厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドにおいて卵黄の摂取開始時期が早められました。

鶏卵の摂取による認知機能改善効果

研究体制

生物系特定産業技術研究支援センター(以下生研支援センター)が公募する「令和3年度 イノベーション創出強化研究推進事業※1」に応募し、「鶏卵市場拡大に向けた卵の認知機能改善研究と付加価値鶏卵の開発」のテーマで採択※2されました。キユーピーはこのうち「応用研究ステージ」にて、鶏卵の認知機能改善効果を明らかにし、その機能性成分を高含有する付加価値卵の開発を五者共同でめざします※3。鶏卵の摂取による「認知機能改善効果」を明らかにするとともに、改善に関与する成分を特定し、その効果をヒト試験で確認することを目的としています。

※1従来の常識を覆す革新的な技術・商品・サービスを生み出していくイノベーションの創出を目的とした、「知」の集積と活用の場による研究開発を重点的に推進する提案公募型の研究開発事業

※2令和3年度「イノベーション創出強化研究推進事業」の公募における審査結果について:

※3共同研究機関:国立大学法人東京大学、学校法人東京医科大学、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)

「卵不使用」のマヨネーズタイプ調味料

キユーピーは、卵アレルギーに配慮し、卵を使わないマヨネーズタイプ調味料(業務用)を学校給食向けに発売しています。発売後の状況から家庭用のニーズが高まっていると判断し、2015年2月に「キユーピー エッグケア(卵不使用)」を市販向けに発売しました。今後も社会に求められる商品づくりで食生活に貢献していきます。

キユーピー エッグケア(卵不使用)

たまごスター

社内認定制度「たまごスター」を2019年度よりスタートしました。
「タマゴのリーディングカンパニー」をめざしてグループ全体で卵の魅力を語れる従業員を増やすことが目的です。
三ツ星タマリエ検定取得(日本卵業協会)に加え、卵の知識を正しく伝えるための勉強会に参加することで認定されます。
全国1,050人(2024年度)の「たまごスター」が卵の魅力を伝える活動を行っていきます。

たまごスター認定証

たまごスター認定証

たまご白書

「たまご白書」は、卵に対する認識や食べ方、トレンドを分析した調査報告で2017年より実施しています。卵について魅力を感じることや好きな卵料理などのアンケートから、卵の正しい知識の啓発や、卵料理の楽しみ方の提案へと生かしていきます。

健康寿命延伸に向けた協働・研究

フレイル予防の取り組み

東京大学高齢社会総合研究機構

フレイル予防イベント

東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)との共同研究

東京大学IOGと連携し、高齢者において、野菜・卵の摂取と食生活および身体機能への関連性について共同研究を行っています。

フレイル予防推進会議への参画および業界団体の設立

2024年設立の「フレイル予防推進会議」に参画し、官民が一体となったフレイル予防の普及啓発活動を推進しています。また、フレイル予防サービス推進のため、流通・食品メーカーを中心とした企業10社で新たな業界団体「フレイル予防サービス振興会」を2025年4月に設立し、フレイル予防産業の健全な育成をめざします。

運動と食の両面から健康を応援

生涯健康でいるために、「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つの要素が大切という想いを共有するセントラルスポーツ株式会社と協働しています。
子どもから高齢者まで健康に過ごしていただくため、セントラルスポーツの食育イベントやホームページなどを通して、栄養と運動の大切さを発信しています。

共同プロジェクトで健康な食生活に役立つ情報を発信

「健康な食生活に貢献したい」という想いを共有する株式会社ABC Cooking Studioと共同プロジェクト「サラダとタマゴの食と健康キッチン」を立ち上げました。野菜不足やたんぱく質不足、塩分の過剰摂取など、食生活の課題に対して、両社の強みや特徴をいかしたWEBコンテンツや、1dayレッスンなどを通じて「サラダとタマゴ」にまつわる健康な食生活に役立つ情報を発信しています。
2023年3月には健康についての意識や、サラダや卵料理をつくるときの悩みや課題をリサーチしまとめた「サラダとタマゴの食と健康白書2023」を公表しました。

食糧学院との取り組み

授業風景

栄養士および調理士の養成校である学校法人食糧学院と連携し、学院生に向けた講演会や授業を実施しています。
サラダやタマゴの価値・魅力を授業で啓発したり、深谷ヤサイな仲間たちファームで研修を行うなど、取り組みを通じて、学生が楽しく学べる機会を提供しています。

健康を支える食生活サポート

食をテーマにした講演会

食についての正しい知識や、食の大切さと楽しさを伝えることは、私たちの重要な役割です。
健康で楽しい食生活に貢献したいと考え、「食」をテーマにした講演会に講師となる社員を派遣し、食生活と健康について正しい情報を提供しています。
プログラムは現在3種類あり、「野菜の魅力」をテーマにしたプログラムでは、野菜の栄養や理想的な摂取量などをDVDで見たり、毎日の生活で実践できる調理法を紹介したり、参加される皆さんに関心を持っていただけるような内容にしています。
参加した方からは、「1日350gの野菜摂取を意識して献立を考えます」「野菜の幅広い魅力、食卓での楽しみ方などを学ぶことができた」などの声も聞かれ、野菜の魅力が伝わっています。

介護に関するイベント

キユーピーは1998年に日本で初めて市販用介護食を発売しました。日本は世界で最も早く超高齢社会に突入し、ますます介護食の必要性は高まっています。
高齢者の食について理解を深めてもらい、ユニバーサルデサインフードについても知ってもらうために、介護の現場に関わる方々や学生へ勉強会を行っています。

中国における食と健康啓発活動

中国でも健康志向は高まりを見せる中、「中国の食と健康への貢献」をめざす丘比(中国におけるキユーピーブランド)は、日本や現地での研究成果を生かし、食品学会などと健康普及活動を中国全土で展開しています。
また、店頭の野菜売り場では、野菜の健康機能を啓発しつつサラダに注目していただく活動も継続しており、北京・上海・広州を起点に中国全土への拡大を進めています。

活動の様子(上海)

ウエルネス領域への挑戦

グループの独自素材を活かした開発

マヨネーズの原料となる卵に加え、お酢をつくりだす酢酸菌においても、長年研究を続けてきました。卵に含まれるコリンは認知機能維持への効果が期待されており、酢酸菌には、花粉症や飲酒時の体調改善、免疫バランスの調整、風邪症状の軽減効果が確認されています。これらを始めとするグループ独自素材に関する長年の研究成果を基盤として、メタボリックシンドローム、フレイル、認知症、免疫の4つの健康課題に対応する商品・サービスを拡充していきます。
さらに、DtoCや越境ECなどの新しい販売方法を活用して、より多くのお客様に当社の健康に役立つ商品をお届けします。
また、医療機器開発やライセンスビジネスなど食品以外の分野にも挑戦し、お客さまの健康促進と生活の質(Quality of Life)の向上に貢献していきます。

酢酸菌GKー1

キユーピーグループでは、独自の製法でにごり酢をつくっており、その原料となる 独自素材 「酢酸菌GK-1」 の機能に着目し、新たな価値創造につなげる研究を進めています。
これまでの研究により、酢酸菌GK-1は、花粉、ホコリ、ハウスダストによる鼻の不快感を軽減させることを、ヒト臨床試験で確認しています。また、酢酸菌GK-1が唾液中の分泌型IgA量を増加させ、風邪に見られる諸症状を減少させることを確認しました。これらの結果から、酢酸菌のアレルギー症状に対する効果との関連が示唆されました。今後もさらなる研究を進め、商品への活用や原料提供というかたちで社外とも取り組みを進めていく予定です。

未病(がん予防)への取り組み

キユーピーは「食」でがんを予防する研究を2013年から開始しました。2019年には将来の発がんリスクを判定する研究を横浜国立大学、東京医科大学と共同で始めています。血液中に存在するマイクロRNAという成分を測定することで、将来の発がんリスクを判定し、マイクロRNAの発現量を改善する食提案で疾病予防の実現をめざしています。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が運営する「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」のプロジェクト(2020-2024)が終了し、現在、事業化に向けて更なる研究を進めています。

医療への取り組み

キユーピーのファインケミカル事業は、卵由来のレシチンやリゾチーム、食酢の研究から生まれた酢酸菌酵素など、さまざまな素材を食品・化粧品・医薬品などの分野へ提供しています。中でも30年以上にわたり研究を重ねてきたヒアルロン酸は、事業の中核となる素材であり、国内販売量No.1(2023年富士経済調べ)となっています。

キユーピーは国内で唯一、鶏のトサカからの抽出と微生物発酵の2つの方法でヒアルロン酸を製造するメーカーです。分子量のコントロール技術や修飾技術を強みとし、顧客ニーズに合わせた技術支援を行ってきました。

キユーピー初の医療機器、内視鏡用粘膜下注入材「ケイスマート」

キユーピー初の医療機器、内視鏡用粘膜下注入材「ケイスマート」

キユーピーのヒアルロン酸は、医療用点眼剤や関節機能改善剤の原料など、さまざまな医薬品に使用されています。これらの取り組みで得た製造・品質管理の技術を生かし、ヒアルロン酸を活用した医療機器の企画、開発を行うビジネスを展開しています。

消化管(胃・食道・大腸など)の粘膜層にとどまる早期がんなどの病変を内視鏡を用いて切除する際に使用される医療機器「内視鏡用粘膜下注入材」は、ヒアルロン酸ナトリウムが使われています。ヒアルロン酸の粘性により粘膜下層にとどまることで粘膜層と筋層を分け、その状態を維持することで病変部位の切除または剥離操作性向上をサポートします。キユーピーは高品質の医療機器を提供することで、内視鏡による早期がん治療を通じ、健康寿命の延伸に貢献します。

他にも大腸検査を受けられる方や医療機関の皆様へ、検査前日にご使用いただける商品もご用意しています。

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