研究レポートポテトサラダが食後の血糖値上昇を抑制する効果の検討

※掲載内容は2023年9月時点の情報に基づきます。

ポテトサラダのじゃがいもの健康機能に着目

ポテトサラダは子どもから大人まで広く愛されている定番サラダのひとつです。一方で、「糖質が多く、健康に良くないのではないか」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。キユーピーグループでは、ポテトサラダのおいしさや健康についての研究を進めています。

私たちは、ポテトサラダの新たな健康効果として、血糖値上昇抑制効果に着目しました。食後の血糖値の急激な上昇を抑えることは、糖尿病や血管疾患の予防につながります。ポテトサラダはじゃがいもを主材料としていますが、じゃがいもの主成分である炭水化物は、加熱後に冷却するとレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が増えることが知られています。また、でんぷんに脂質を添加するとレジスタントスターチが形成されることが報告されており、じゃがいもは食べ方次第で血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待されます。

本研究では、ポテトサラダの新たな健康価値の探索を目的として、ポテトサラダを摂取したときの食後血糖値への影響を評価しました。

レジスタントスターチとは

レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)とは、胃や腸でほとんど吸収されることなく大腸まで届くでんぷんのことです。食後の血糖値の上昇を緩やかにする、血中のコレステロールを低下させる、大腸の善玉菌を増やす、満腹感を維持させるといった作用があるといわれています。

でんぷんを冷却保管したり、でんぷんに脂質を添加したりすることで、レジスタントスターチが形成されることが報告されています。そのため、じゃがいもは食べ方次第で血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待されます。

吉村 由祐子
(研究開発本部 食創造研究所 野菜価値創造部 野菜・惣菜研究チーム)

お客様の楽しい食卓や健康な食生活に貢献することをめざして、サラダや惣菜のおいしさや健康効果の研究に取り組んでいます。

研究概要

健常な成人男性15名を対象として、2つの介入研究(クロスオーバー試験)を実施しました。
試験1では、蒸したてのじゃがいも69gを食べた場合と、ポテトサラダ85g(じゃがいも69g+マヨネーズ16g、4日間冷蔵保存)を食べた場合の食後の血糖値の変化を比較しました。
試験2では、米飯150g、ポテトサラダ100g(前述のポテトサラダににんじん、玉ねぎ、きゅうりを添加、3日間冷蔵保存)を用いて「米飯-ポテトサラダ」および「ポテトサラダ-米飯」の2種類の順序で被験食を摂取し、食後の血糖値の変化を比較しました。両実験とも、一晩絶食の後、被験食の摂取前、被験食摂取後15、30、45、60、90および120分後に採血を行い、血糖値を測定しました。

研究成果

試験1.じゃがいもをポテトサラダとして食べると食後血糖値の上昇を抑制

ポテトサラダを摂取した場合、蒸したてのじゃがいもと比較して、食後30分および45分の血糖値が有意に低い値を示しました。じゃがいもはポテトサラダとして食べることで食後の血糖値上昇を抑制する可能性が示唆されました。じゃがいものでんぷんは、マヨネーズと混合して冷却することによりレジスタントスターチが増加し、糖質の吸収をおだやかにしたのではないかと推察されます。

試験2.米飯の前にポテトサラダを食べると食後血糖値の上昇を抑制

「ポテトサラダ-米飯」の順序で摂取した場合、「米飯-ポテトサラダ」と比較して、食後30分および45分の血糖値が有意に低い値を示しました。ポテトサラダを米飯の前に摂取すると、米飯から摂取した場合よりも食後の血糖値上昇を抑制する可能性が示唆されました。

本研究より、血糖コントロールにおいて、じゃがいもはポテトサラダとして摂取することが効果的であること、また、ポテトサラダは野菜サラダ同様に食前に摂取することが効果的である可能性が示されました。

今後の展望

本研究を通して、健康価値というポテトサラダの新たな魅力を発信していきたいと思います。お客様がご自身の健康に気を配りながらも、おいしさや食べる楽しさを感じられるような食卓づくりに貢献したいと考えています。本研究では、ポテトサラダの血糖値上昇抑制効果に着目し、血糖コントロールにおいてポテトサラダの摂取が効果的である可能性を明らかにしました。
毎日の忙しい生活の中で、料理にあまり時間を割けない方でも、ポテトサラダを食卓に一品加えていただくことで、おいしく健康に食事を楽しんでいただくことができます。これからも、いつでも安定しておいしい商品を提供することをめざして、ポテトサラダをはじめとするサラダや惣菜の研究開発を進めていきます。

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