気候変動への対応
気候変動対応への考え方
気候変動の防止は人類共通の課題です。キユーピーグループでは気候変動の原因となるCO2排出量削減のため、調達、生産、物流、販売、オフィスの各段階において、省エネルギーやエネルギー転換など積極的に取り組んでいます。
サステナビリティにむけての重点課題「CO2排出削減(気候変動への対応)」への取り組みでは、サステナビリティ目標に国内各部門からのCO2排出量削減を設定して、気候変動の防止へさらに注力しています。
CO2排出量の削減
気候変動の進行を受けて、CO2排出削減目標を見直し、上方修正しました。
更なるCO2排出削減のため、グループ全体で製造工程の効率改善、省エネ設備の導入など、従来の取り組みに加え、脱炭素社会に向けた製法・工程の変革、再生可能エネルギーの導入を検討しています。
物流では長距離トラック輸送から鉄道・船舶輸送へのモーダルシフト、異業種メーカーとの共同輸送を積極的に推進しています。
オフィスにおいてもAIなど新技術を活用したエネルギー使用の最適化に取り組んでいます。
また、サプライチェーン全体でのCO2排出量の算定を進め、その削減を推進します。
CO2排出量

対象:国内グループ生産工場、オフィス
ただし、排出量原単位は、国内グループ生産工場
再生可能エネルギーの活用
キユーピーグループでは、国内外で再生可能エネルギーの導入を順次進めています。キユーピー神戸工場は、屋上に太陽光発電のスペースを提供し、関西電力株式会社が設置と管理を行う「オンサイトPPAモデル」で運用を開始しています。 2022年12月からは、関西電力株式会社による、再生可能エネルギーメニューでの電力供給と、三井物産株式会社からの供給燃料(蒸気)で発生するCO2相当のJ-クレジット※の購入により、実質再生可能エネルギー由来100%へ切り替えることができました。この取り組みにより、キユーピーグループで初のネットゼロ工場が実現し、年間約3,680トンのCO2排出量が削減できる見通しです。
また、2022年8月には、株式会社キタカミデリカが太陽光発電のスペースを提供し、株式会社Looopが設置と管理を行う「オンサイトPPAモデル」で運用を開始し、同工場での総電力使用量の5.3%を発電することで、年間約85トンのCO2排出量削減を見込んでいます。
さらに2023年2月頃には国内3拠点での太陽光パネルの設置を予定しており、今後もグループのオフィスや生産拠点における使用電力を積極的に再生可能エネルギーに転換していきます。
※J-クレジット制度とは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量をクレジットとして国が認証する制度。
キユーピーグループにおける太陽光パネル設置状況
設置開始 時期 |
拠点名 |
---|---|
2023年 2月頃予定 |
キユーピータマゴ 尾張工場 キユーピータマゴ 三田工場 サラダクラブ 遠州工場(追加パネル設置) |
2022年 8月 | キタカミデリカ(オンサイトPPAモデル) |
2022年 2月 | キユーピー 神戸工場(オンサイトPPAモデル) |
2021年12月 | 北京丘比 |
2021年12月 | キユーピーベトナム |
2021年11月 | 旬菜デリ 青梅工場 |
2021年 2月 | キユーピータマゴ 飯能工場 |
2020年 4月 | 旬菜デリ 昭島工場 |
2018年 4月 | キユーピータイランド |
2016年12月 | キユーピー 五霞工場 |
2016年 2月 | サラダクラブ 遠州工場 |
2015年 9月 | 富士吉田キユーピー※ |
2015年 1月 | グリーンファクトリーセンター白河 |
2014年 4月 | キユーピー醸造 滋賀工場 |
2013年10月 | 仙川キユーポート |
2013年 4月 | ケイパック 本社工場 |
2012年 3月 | キユーピー ファインケミカル本部五霞工場 |
※富士吉田キユーピー:2021年に株式会社はくばくへ事業譲渡しました。その敷地内にキユーピーが設置した太陽光パネルは、現在もキユーピーが保有管理を継続しています。

キユーピー神戸工場屋上に設置した太陽光パネル

キタカミデリカ屋上に設置した太陽光パネル
TCFDへの取り組み
キユーピーグループの事業は、自然の恵みに強く依存しているため、原材料の収量の減少や品質の低下など、気候変動によるさまざまな影響を受ける可能性があります。今後の気候変動に関連する事象を、経営リスクとして捉えて対応すると同時に、新たな機会も見いだし、企業戦略へ活かしていきます。
キユーピーグループは、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)※1」へ賛同し、これに賛同する企業や金融機関等が連携する場としての、「TCFDコンソーシアム※2」に参画しました。
キユーピーグループ内で「TCFDプロジェクト」を発足し、2021年からTCFDに取り組んでいます。
※1G20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。気候変動によるリスク及び機会が経営に与える財務的影響を評価し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示することを推奨しています。
TCFD ウェブサイト
※2企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげる取り組みについて議論する場として、2019年に設立。TCFD提言に賛同する企業や金融機関等が取り組みを推進しています。
TCFD コンソーシアムウェブサイト

ガバナンス
キユーピーグループは、社会の持続可能性向上への貢献と企業の持続的な成長のために、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」を定めています。気候変動対応を含めたサステナビリティ関連の重点課題については、サステナビリティ担当取締役を委員長とするサステナビリティ委員会が目標達成に向けた方針・計画の策定を行うとともに、取り組みを推進しています。サステナビリティ委員会で検討した内容等は、経営会議(代表取締役社長執行役員の諮問機関)に加えて取締役会でも適宜審議または報告がなされるなど、取締役会による適切な監督体制を整えています。
キユーピーグループの「めざす姿」、そして「キユーピーグループ 2030ビジョン」を実現するためにも、さまざまなステークホルダーの皆様とともに社会課題の解決に協働して取り組んでいきます。
会議体、他体制 | 役割、担当 |
---|---|
取締役会 | 気候変動対応の監督 |
サステナビリティ委員会 | 気候変動対応を含めたサステナビリティ関連の方針・計画の策定、重要事項の決定、重点課題の取り組みの推進 |
担当役員 | 井上伸雄(取締役 常務執行役員、サステナビリティ担当) |
戦略
キユーピーグループでは気候変動にともなうさまざまなリスクと機会について、その重要性に応じて短期・中期・長期にわたっての特定を⾏い、また外部環境の変化も踏まえ、定期的に分析・評価の⾒直しを⾏っています。リスクと機会の特定においてはIPCC※1やIEA※2などが発表しているシナリオを用いて、2つのシナリオを描いております。1つ目のシナリオは2100年時点において産業革命以前より1.5~2℃気温上昇し、環境政策が進展するシナリオ(以下「環境政策 進展シナリオ」と表記)、2つ目のシナリオは2.7~4℃気温上昇し、気候変動に対し必要な施策や追加の対策が講じられない場合の成り行きシナリオ(以下「成り行きシナリオ」と表記)とし、2030年の事業におけるインパクトを算出しました。特定されたリスクと機会について対応策を検討し、単年度計画および中期経営計画に組み込み、推進します。
※1IPCC
IPCCとは、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)のことで、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織である。各国政府の気候変動に関する政策に必要な科学的情報を提供している。
※2IEA
IEAとは、国際エネルギー機関(International Energy Agency)のことで、OECD(経済協力開発機構)の枠内における自律的な機関として第1次石油危機後の1974年に設立された組織である。エネルギー政策に必要な中長期の需給見通しなどの情報を提供している。
シナリオ分析の適用
2021年から2024年にわたる中期経営計画において、段階的に分析範囲を拡張していきます。2021年度は国内および海外市場におけるマヨネーズ、ドレッシング(特に深煎りごまドレッシング)、および2022年度はタマゴに対する気候変動リスクと機会の分析を手掛けました。特に主原料の食油・卵・食酢おいて、穀物を主体とした農作物は気候変動が影響することを認識しました。これに対し、特定の農作物への依存度合いを中長期的に引き下げていく戦略を検討しています。
主な気候変動リスクと機会
<環境政策 進展シナリオ>
厳しい環境規制・高い炭素税が導入され、世界ではカーボンニュートラルが達成されます。農林水産部門では CO2ゼロエミッション化を実現する一方で、サプライヤーの環境対応コストが高まります。健康意識が高い消費者が増加し、サラダなど野菜の摂取量が増加します。
環境政策 進展シナリオで特定したキユーピーグループのリスクと機会は以下のとおりです。
リスク項目 | リスク | 機会 | 時期※ | インパクト | ||
---|---|---|---|---|---|---|
大分類 | 中分類 | 小分類 | ||||
移行リスク | 政策・規制 | 炭素税の 導入 |
● | 中期 | 小 | |
プラスチック・包装材への規制 | ● | 中期 | 小 | |||
未利用資源の価値化 | 〇 | 中期 | 小 | |||
市場 | サステナビリティ性が高い商品の需要増加 | 〇 | 中期 | 小 | ||
環境に配慮した原資材の調達コスト増加 | ● | 中期 | 小 |
※時期の定義
短期:2024年まで 中期:2030年まで 長期:2050年までとしています。
<成り行きシナリオ>
低炭素化は進展するものの、2050年カーボンニュートラルは達成せず、気温が上昇する影響により、自然災害は激甚化・頻発化し、サプライヤー・自社の生産拠点で浸水被害発生頻度が上昇します。熱ストレスによる農作物の収量低下により、原材料調達コストが増加します。
成り行きシナリオで特定したキユーピーグループのリスクと機会は以下のとおりです。
リスク項目 | リスク | 機会 | 時期※ | インパクト | ||
---|---|---|---|---|---|---|
大分類 | 中分類 | 小分類 | ||||
物理リスク | 慢性 | 熱ストレスによる収量減少に伴う農作物の調達コストの増加 | ● | 中期 | 中 | |
急性 | 洪水による生産設備の被災・停電、操業の停滞・停止 | ● | 短~長期 | 中 |
※時期の定義
短期:2024年まで 中期:2030年まで 長期:2050年までとしています。
気候変動リスクと機会に対する対応策(●リスクに備えた対応 〇機会を活かした取り組み)
シナリオ分析により特定されたリスクと機会に対し、次のテーマを推進し、持続的成長に活かしていきます。
〇環境政策の進展した市場への対応
- 環境配慮型商品の需要増加への対応
- 農作物(食油)などを使いこなす技術革新
- 原料相場に強い体質への転換
- 容器包装プラスチック軽量化
- 再生プラスチックやバイオマスプラスチックの積極導入
- 商品の使い方提案による環境負荷低減
〇食品ロスの削減と有効活用
- 野菜未利用部の有効活用(堆肥化・飼料化)
●CO2排出量の削減
- CO2削減を指標とした設備投資(電化の推進、インターナルカーボンプライシングの導入)
- 製造工程中の加熱や殺菌工程の見直し
- 再生可能エネルギーの活用・導入
- サプライヤーとの協働
●洪水への備え
- 洪水リスク評価に応じ重点的な対策
- 主力製品のBCP(被災時に備えた事業継続計画)
上記の対応策に関連して2021,2022年度に実施した内容は主に下記のとおりです。
対応策 |
〇環境政策の進展した市場への対応
|
---|---|
取り組み | キユーピーテイスティドレッシング全品に再生プラスチックを含む容器を採用 |
概要 |
「キユーピー テイスティドレッシング」シリーズ全5品に再生プラスチック※を含む容器を採用した。
※再生プラスチック:主に清涼飲料水用のペットボトルを回収後に粉砕、洗浄した後、高温下で一定時間処理し、汚染物質を除去することで高品質にする方法「メカニカルリサイクル(物理的再生法)」で再生したプラスチック。 |
![]() |
対応策 |
●CO2排出量の削減
|
---|---|
取り組み | 渋谷本社および仙川キユーポート2拠点における使用電力を2月20日から実質再生可能エネルギー由来へ100%切り替え。 |
概要 | グループ最大規模のオフィス機能を有する渋谷本社および、グループの研究開発拠点である仙川キユーポートで使用する電力を、2022年2月20日から実質再生可能エネルギー由来の電力に100%切り替え。これにより、年間約1,600トンのCO2排出量が削減できる見通し。 |
![]() 渋谷オフィス ![]() 仙川キユーポート |
対応策 |
●CO2排出量の削減
|
---|---|
取り組み | 神戸工場にオンサイトPPAモデルの太陽光パネルを設置 |
概要 | 西日本最大の調味料生産拠点であるキユーピー神戸工場の屋上に、太陽光パネルを設置し、2022年2月1日から運用を開始。神戸工場が太陽光発電のスペースを提供し、関西電力株式会社が設置と管理を行う「オンサイトPPAモデル」で運用し、同工場での総電力使用量の6.3%を発電することで、年間約170トンのCO2排出量削減の見込み。 |
![]() キユーピー神戸工場屋上に設置した太陽光パネル |
リスク管理
キユーピーグループの気候変動への対応について、ステークホルダーからの期待の大きさとグループが与える社会への影響の大きさから、重要度が高い課題と位置付けています。
キユーピーグループに影響を及ぼす気候変動リスクを特定し評価するために、組織横断的なTCFD対応プロジェクトを運営しています(サステナビリティ委員会での決議により設置。リーダー:経営推進本部長、事務局:サステナビリティ推進部、経営企画部、危機管理室)。TCFD対応プロジェクトで特定された気候変動リスクおよび対応策はサステナビリティ委員会にて承認され、進捗管理します。その内容は経営会議・取締役会へ報告します。
指標と目標
気候変動によるリスクと機会を測定・管理するために用いている指標は、以下のとおりです。
重点課題 | 取り組み テーマ |
指標 | 2022 年度 実績 |
2024 年度 目標 |
2030 年度 目標 |
---|---|---|---|---|---|
気候変動への対応 | CO2排出量の削減 | CO2排出量削減率(2013年度比) | 26.1% | 30%以上 | 50%以上 |
排出量の計算においては「日本の環境省、地球温暖化対策の促進に関する法律の改定による、地球温暖化に対処する対策の促進に関する法律(2005年改訂)」を参照しています。
また関連する項目として、「資源の有効活用・循環」についてのリスクと機会を測定・管理するために用いている指標は、以下のとおりです。
重点課題 | 取り組み テーマ |
指標 | 2022 年度 実績 |
2024 年度 目標 |
2030 年度 目標 |
---|---|---|---|---|---|
資源の有効活用・循環 | 食品ロス削減・有効活用 | 食品残さ削減率 | 46.6% | 50%以上 | 65%以上 |
野菜未利用部有効活用率(主要野菜:キャベツなど) | 77.5% | 70%以上 | 90%以上 | ||
商品廃棄量削減率(2015年度比) | 74.8% | 60%以上 | 70%以上 | ||
プラスチックの削減・再利用 | プラスチック排出量削減率(2018年度比) | 算定中 | 8% 以上 |
30%以上 | |
水資源の持続的利用 | 水使用量(原単位)削減率 | 1.6% | 3% 以上 |
10%以上 |
※「食品残さ削減率」の指標には「野菜未利用部有効活用率」も含まれています。
なおこれら重点課題の特定は、バリューチェーンにおけるリスクと機会の分析に加え、社会変化にともなうリスクと機会を分析し、「持続可能な開発目標(SDGs)」を参考にキユーピーグループが事業を通じて取り組むべき社会課題を抽出しています。次に、社会課題ごとに、ステークホルダーからの期待の大きさとグループが与える社会への影響の大きさを評価し、「サステナビリティに向けての重点課題」としました。重要性の評価においては、サステナビリティの国際基準GRI、ISO26000、SASBおよび各種ESG評価などを参考に、「キユーピーグループ 2030ビジョン」の考えを反映しています。
サステナビリティ目標は、それぞれ「サステナビリティに向けての重点課題」とひも付いており、キユーピーグループとして取り組む内容を指標化したものです。2019年に発表したサステナビリティ目標を、社会情勢を考慮して見直しを行いました。具体的には、気候危機緩和への貢献と適応策の実施により、製造拠点の再編、製造工程の見直し、再生可能エネルギーの計画策定を進めることにより「CO2排出量削減率」の目標を上方修正しました。また「野菜未利用部有効活用率」「商品廃棄量削減率」の目標においても上方修正しました。
Scope1、Scope2及びScope3の温室効果ガス(GHG)排出量は以下のとおりです。
Scope3の温室効果ガス(GHG)排出量については、キユーピー株式会社単体のデータであり、今後グループでの把握を行っていきます。
また、取締役の報酬においては、中期経営計画の重要指標(サステナビリティ目標、従業員に対する目標を含む)および各人ごとのミッションの達成度に応じて変動させていきます。
生産における取り組み
生産部門のCO2排出削減
キユーピーグループでは、製造工程での効率改善、設備の導入などによる省エネルギーを基本として、A重油から都市ガス・天然ガスへの燃料転換、コジェネレーション(熱電併給)や太陽光発電の利用を進めています。また、グループ事業所での優れた取り組み事例を共有・展開することによってCO2排出削減に努めています。
生産部門の省エネルギーの推進
キユーピーグループでは、生産事業所の各工程にエネルギー測定装置を設置するなど「エネルギー使用の見える化」を進め、設備運用改善・メンテナンスの徹底、省エネ型機器を導入し省エネルギー化を推進しています。
生産部門の省エネルギー削減目標
- エネルギー使用量 前年対比1%以上の削減
2021年度のキユーピーグループ生産工場のエネルギー使用量は熱量換算3,365千GJで前年度より1.8%減少しました。生産数量1トン当たりのエネルギー使用量(原単位)は熱量換算で4.37GJとなり、前年度より1.8%減少しました。
使用量・原単位の減少の主な原因は調味料事業の工場再編による効率生産とタマゴ事業の事業再編による効率生産および各事業での計画的な省エネ型の設備更新によります。

対象:キユーピーグループ生産工場
自然冷媒冷凍機の活用
キユーピーグループでは、省エネ設備の導入と設備の運用最適化に取り組んでいます。冷凍機更新において、自然冷媒機を導入することにより、CO2削減と脱フロンを実現しています。
キユーピー中河原工場(東京都府中市)では、冷凍機の設備更新にあたり自然冷媒機を2018年に導入し、CO2削減に努めています。

アンモニア冷凍機
物流における取り組み
キユーピーグループでは、お取引先やグループ会社と連携し、原料輸送から商品配送にいたるまで、すべての輸配送で環境負荷低減に取り組んでいます。
輸配送距離の短縮化と積載効率向上による輸配送効率化、低燃費で安全にもつながるエコドライブなどを実施しています。加えて、長距離トラック輸送の鉄道や船舶への切替(モーダルシフト)を推進して、CO2排出削減を実現しています。
キユーピー商品の輸配送によるCO2排出量は、2021年度22.0千トンで前年比0.1%増となりました。
輸配送によるCO2排出量
2020年度 | 2021年度 | 前年度比 | ||
---|---|---|---|---|
キユーピー 販責商品 |
輸配送量(千トンキロ) | 138,443 | 136,590 | -1.3% |
CO2排出量(トン) | 22,010 | 22,026 | +0.1% |
モーダルシフトの推進
専用31フィートコンテナ10基(うち冷凍コンテナ4基)を導入し、輸送事業者と連携してモーダルシフト※1を推進しています。
キユーピーは、商品を輸送する時に貨物鉄道を一定割合以上利用している企業として、2019年7月に「エコレールマーク」認定をされました。
モーダルシフト化率※2は、2021年度31%と前年比減となっています。
※1モーダルシフト:500km以上の長距離トラック輸送を鉄道・船舶でのコンテナ輸送へ転換すること
※2モーダルシフト化率:500km以上の輸送トン数に対し、鉄道や船舶による輸送トン数の比率


鉄道・船舶積載用31フィートコンテナを10基導入し、輸送事業者と連携してモーダルシフトを進めています

モーダルシフト化率の推移
異業種での共同輸送の取り組み
キユーピーは、2018年からトイレタリー業界のライオン株式会社、レンタルパレット業界の日本パレットレンタル株式会社と一緒に共同輸送を実施しています。3社の荷物を載せることで、トラックが空での移動を1%未満に抑えることができました。
加えて、一部区間をトラックから船に切り替えるモーダルシフトを行うことでさらにCO2削減の効果を高めています。この取り組みは外部から高く評価され、平成30年度グリーン物流パートナーシップ会議優良事業者表彰において「国土交通大臣表彰」をいただいています。
オフィスにおける取り組み
2022年2月よりグループ3拠点(グリーンファクトリーセンター白河・富士吉田キユーピー※1・サラダクラブ 遠州工場)の太陽光パネルで発電された環境価値(トラッキング付FIT非化石証書※2)付きの電力を、東京電力エナジーパートナー株式会社を通して日本卸電力取引所から調達し、渋谷本社と仙川キユーポートの使用電力へと振り替え実質再生可能エネルギー由来へ100%切り替えました。この取り組みにより、年間約1,600トンのCO2排出量が削減できる見通しです。
※12021年に株式会社はくばくへ事業譲渡しました。その敷地内にキユーピーが設置した太陽光パネルは、現在もキユーピーが保有管理を継続しています。
※2非化石電源により発電された電気が持つ「非化石電源由来であることの価値」を証書化したものです。小売電気事業者が非化石価値取引市場で調達して、需要家に販売する電気に活用することで温室効果ガス排出量の削減が認められています。
渋谷オフィスでの取り組み
キユーピーグループの渋谷オフィス(渋谷董友ビル)は、ビル全体を2重のガラスが覆い(ダブルスキン)、ガラス間を自然換気することで高い断熱性を実現しています。また、高効率空調機やLED照明といった省エネ設備も導入しています。

2重ガラスが覆う(ダブルスキン)外観
これらの環境設計により、建築総合環境評価システム「CASBEE」の総合評価Aランクに認定されています。
また、グリーンファイナンス促進利子補給金交付決定事業※に採用されています。
※グリーンファイナンス促進利子補給金交付決定事業:環境省が公募した、地球温暖化対策のための設備投資の事業に係る融資に対する利子の一部を補給する対象となる事業。
仙川キユーポートでの取り組み

自然換気システム
仙川キユーポートでは、吹き抜けを活用した自然換気システム、コジェネレーションシステム、太陽光発電、LED照明などを導入しています。省エネ設計性能を最大化するため、設備メーカーとの連携を深めるとともに、仙川キユーポートに勤務する多くの社員に聞き取りなどを行うことで、運用精度の向上を図っています。
さらに、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社との協働により、クラウドサーバー上のAIを利用して、気象予報データと空調器(冷凍機、ヒートポンプ、ガスボイラー、コージェネレーション発電)の稼働状況などに基づく最適化運転パターン分析を実現、運用を検証しました。
導入前に比べ、空調機器のエネルギー使用量(原油換算)を夏季・冬季で約15%、中間期(春季)で約20%削減しました。
運転の自動化に向けて、さらなる取り組みを進めています。