サステナビリティ特集 環境(食品ロス削減)
資源の有効活用に向けた
創意工夫
社会課題とキユーピーの取り組み
食品メーカーとしてお客様にご安心いただくには、商品の安全性に加えて、原料·資材の調達から生産·販売、廃棄物のリサイクルまで、商品のライフサイクル全体に責任ある取り組みが必要と考えています。
2018年1月に「キユーピーグループの持続可能な調達のための基本方針」を定め、お取引先と協力して、安全性に加え、環境や人権に配慮した調達を進めていくことを表明しました。
また、日本国内においての食品ロス年間発生量は約612万トン(環境省推計平成29年度)と世界的に見ても多いとされています。
キユーピーグループでは、原料を最大限活用するため、マヨネーズなどに用いる卵の殻は100%活用をしている他、サラダ·惣菜事業では、商品には使用できない野菜の未利用部を有効に活用するなど、創意工夫を続け、サプライチェーン全体の持続可能性に配慮しています。
卵殻の有効活用
キユーピーグループは、日本の卵生産量の約10%(1年間で約25万トン)を使用しており、卵殻は約2.8万トン発生しています。廃棄すると環境へ多大な負荷が掛かるため、1956年から卵殻を天日で干し、土壌改良材(肥料)として農家へ販売し、現在は社内外と協働することで卵殻を100%有効活用してきました。
また、長年続けている卵殻の付加価値化と社会貢献への挑戦について、「令和元年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(3R推進功労者等表彰)」の農林水産大臣賞を受賞。さらに、長年取り組んでいる卵殻と卵殻膜の価値探求と食と健康への貢献について、第7回「食品産業もったいない大賞」の農林水産省食料産業局長賞を受賞しました。
「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」「食品産業もったいない大賞」の両表彰で受賞するのは、「野菜の未利用部を活用した資源循環の推進」をテーマに受賞した昨年に続き2度目です。
今後も、さらに付加価値の高い活用方法を研究し続けることで、環境保全や健康への寄与に貢献していきます。
水田に卵殻を施肥する様子(埼玉県の協力農家)
第7回「食品産業もったいない大賞」表彰式にて
卵殻の受賞理由
■卵殻は米も強くし、ヒトの骨をも強くする
近年は、東京農業大学 応用生物科学部(辻井良政教授、加藤拓准教授)と共同で、卵殻の肥料としての価値を研究しています。現在までに、水田に卵殻を施肥することで、猛暑などの天候不順による水稲への影響を低減し収穫量を改善すること、米の品位が向上することが分かってきました。米の作付面積は日本の耕地面積の中で最も大きい※ため、将来的には、キユーピーグループだけでなく日本全体の卵殻の有効活用も期待できます。
また、ベトナムのハノイ国立栄養研究所との共同研究では、卵殻カルシウム(食用微細化卵殻粉、炭酸カルシウムを主成分とする生体素材)がヒトの骨量を増加させることを確認しました。卵殻は、高齢化で世界的に課題となる骨粗しょう症の解決に貢献できる素材です。現在ベトナムでは、卵殻カルシウムを配合した栄養強化食品の販売と合わせ、学校や病院への認知啓発と提案を進め、子どもの体格向上と高齢者の骨粗しょう症への課題解決に取り組んでいます。
※農林水産省 平成30年農作物作付(栽培)延べ面積及び耕地利用率 参照
■卵殻膜の機能
キユーピー独自の製法で卵殻と卵殻膜を分離することに成功しました。水に溶ける卵殻膜には、肌のハリの素となるⅢ型コラーゲンを増やす働きがあることがわかり、1991年から化粧品原料として活用しています。
卵殻活用のあゆみ
- 1956年 卵殻を天日で干し、土壌改良剤として農家に販売を開始
- 1969年 卵殻の破砕・乾燥設備を導入(旧仙川工場)
- 1981年 卵殻を食品用カルシウムとして発売(膜除去技術の確立により実現)
- 1991年 卵殻膜を加工、化粧品原料として発売
- 2007年 卵殻を建築材や日用雑貨(壁紙、タイヤなど)の原料として発売
- 2012年 卵殻を肥料として生産した米に関する研究を開始
- 2017年 ベトナムにて栄養強化食品として卵殻カルシウムソースを発売
- 2019年 卵殻に関する取り組みが「3R推進功労者等表彰」農林水産大臣賞を受賞
- 2020年 卵殻に関する取り組みが「食品産業もったいない大賞」農林水産省食料産業局長賞を受賞
野菜未利用部の活用
サラダ・惣菜事業の拡大に対応して、商品には使用できない野菜の未利用部(外葉や芯、皮など)の有効活用に取り組み、さらなる高度利用をめざしています。
株式会社サラダクラブ遠州工場では、キユーピーグループで開発した乳酸発酵による乳牛向けの飼料化を行い、さらに、2019年に発酵分解装置による工場内での肥料化を行い、野菜の未利用部の100%有効活用を達成しました。
メッセージ
卵殻の可能性を明らかにすることが今後の課題です
卵殻の主成分であるカルシウムは、植物の細胞ひとつひとつを頑健にするだけでなく、細胞内でさまざまな生理活性をもつと考えられています。一方、気候変動が地球規模で生じるなか、人間にとっても大変な猛暑は、お米の収量を減らす原因のひとつです。我々は、卵殻のカルシウムが稲の夏バテを防ぎ、お米の収量を安定化させると考えており、そのメカニズムを明らかにすることが、今後の課題です。
東京農業大学 応用生物科学部
農芸化学科 土壌肥料学研究室
准教授 加藤 拓






