研究レポートポテトサラダに見る、地域毎の食の嗜好性との関連性

※掲載内容は2025年11月時点の情報に基づきます。

ポテトサラダのポテンシャルを、多くのお客様に伝えたい

日本の食卓においてじゃがいもは、多くの方になじみがあり、ホッとするような優しい味わいによって、欠かせない食材の一つになっています。じゃがいもを使ったメニューの中で、「ポテトサラダ」は老若男女問わず広く浸透しており、家庭料理・惣菜売り場・レストランや居酒屋といったあらゆる食シーンで親しまれる定番サラダとして根付いてきました。
一方で、ポテトサラダの食卓での位置づけは、副菜として認識されていると考えています。そのため私たちは、おいしさの追求だけでなく、お客様にポテトサラダのポテンシャルを感じていただけるような研究にも取り組んでいます。
今回、お客様に「食べてみようかな」と興味をもっていただくことを目的に、出汁や卵焼き、醤油といったほかの食品と同様に、ポテトサラダにも地域別の嗜好性が反映されているのではないか、という仮説を立てました。この仮説のもと、キユーピー株式会社と、惣菜の製造・販売を担うグループ会社のデリア食品株式会社と共同で検証を行いました。

相羽 孝亮
(研究開発本部 食創造研究所 野菜価値創造部 野菜・惣菜研究チーム)

「日本一のポテトサラダ」を実現するため、お客様へおいしさ・やさしさ・ユニークさを届けられるような研究に取り組んでいます。

研究概要

ポテトサラダの風味(味付け)の分析データ

北海道・東北・首都圏・中部・関西・九州の計6地域において、ランダムに選択した10カ所の量販店やスーパーの惣菜売り場で販売されているポテトサラダを用いて検証しました。各ポテトサラダにおいて、甘味をデジタル糖度計で、塩味・酸味・うま味を味認識装置(味覚センサー)で測定しました。計60品の測定データの平均値を基準(0点)として、各サンプルの値との差を分析データとして用いました。

地域別の食の嗜好性との関連性

地域別の食の嗜好性がどの程度ポテトサラダの味付けに反映されているかを検証しました。一般的に知られる地域別の食の嗜好性について、官公庁等が示すデータや文献をもとに、次の4つの視点で定性的にまとめ、ポテトサラダの分析データと比較しました。
①調味料消費量傾向
②①を基にした嗜好性が高い味
(甘味:砂糖/塩味:食塩・醤油/旨味:味噌/酸味:酢・マヨネーズ・マヨネーズ風味調味料)
③歴史的背景
④特徴的な郷土料理

※引用文献:総務省統計局 家計調査(家計収支編)調査結果 (二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2022年(令和4年)~2024年(令和6年)平均)/農林水産省ホームページ「うちの郷土料理」/(一社)日本調理科学会 家庭料理研究委員会 総まとめ報告書

研究成果

ポテトサラダの分析データから、全国の平均と比較して地域毎にポテトサラダの風味に違いがあることが示されました(図1)。また地域別の食の嗜好性とポテトサラダの風味傾向が部分的に合致することが示されました(図2)。

図1 6つの地域におけるポテトサラダの分析結果

北海道

北海道エリアの食事の嗜好性 調味料消費傾向(全国平均との比較) どの調味料においても消費量が多い
嗜好性が高い味 全ての味(特に甘味・塩味)の強度が強い傾向
歴史的背景 開拓時代、調理の手軽さ重視のためエネルギー摂取も手軽にするため味が濃い傾向
特徴的な郷土料理 鮭のちゃんちゃん焼き、ザンギ、いももち、ジンギスカン
北海道の食事の嗜好性とポテトサラダ分析データとの関係性 全体的な味の強度が強い食事の嗜好性と合致している傾向

中部

中部エリアの食事の嗜好性 調味料消費傾向(全国平均との比較) 食塩の使用量は少ないが、他の調味料の使用量は多く、特に砂糖の消費量が多い
嗜好性が高い味 味噌やたまり醤油を使用した甘味・旨味が強い傾向
歴史的背景 大豆主体の調味料が発達したため
特徴的な郷土料理 味噌おでん、かしわの引きずり、伊勢うどん、鶏ちゃん
中部の食事の嗜好性とポテトサラダ分析データとの関係性 ・甘味、旨味が強い食事の嗜好性と合致している傾向
・マヨネーズの消費量が多いことが、酸味が高い要因ではないかと推察

関西

関西エリアの食事の嗜好性 調味料消費傾向(全国平均との比較) どの調味料においても消費量は少ない
嗜好性が高い味 出汁や薄口醤油による素材の風味を活かすやさしい味付け傾向
歴史的背景 商人町で生活が質素なため素材の良さを生かす料理が発達
特徴的な郷土料理 きつねうどん、明石焼き、おばんざい
関西の食事の嗜好性とポテトサラダ分析データとの関係性 ・調味料の消費量も全国と比較して低く、やさしい味付けの嗜好性と合致している傾向
・塩味が強い薄口醤油が主体であることが、塩味が高い要因ではないかと推察

表 地域別の嗜好性と分析データとの関係性(地域一部抜粋)

出典:一般社団法人 日本調理科学会2025年度大会発表内容より一部改編

今後の展望

私たちは、今回紹介したように、おいしさだけでなく、その商品やメニューが持つポテンシャルをより引き出す研究にも力を入れています。
特にサラダについては、栄養面で野菜を摂らないと、というだけでなく、野菜やサラダに興味を持っていただき、楽しく召し上がっていただけるような研究や発信を続けてまいります。

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