プロジェクトストーリーVol.4 酢酸菌で社会の健康課題解決に貢献する
※掲載内容は2025年12月時点の情報に基づきます。
キユーピーグループでは、マヨネーズの原料であるお酢の研究を長年続けてきました。その過程で、お酢をつくる「酢酸菌」が人々の健康に寄与する可能性に着目。研究の成果として、「酢酸菌がアレルギー改善に効果がある」ことが明らかになりました。この酢酸菌の効果の認知度を高め、健康課題解決に貢献するためのプロジェクトが動き出しました。
花粉症をテーマに、一橋大学との共同プロジェクトが始動
マヨネーズやドレッシングの原料であるお酢をつくる酢酸菌には、免疫バランスを整える効果が報告※されており、花粉症などのアレルギー症状を抑えることが期待されています。日本で3,000万人が悩まされている花粉症は、生産性の低下にもつながる社会的な課題であり、子どもたちの間でも増加傾向にあります。
創業以来、時代ごとの健康課題に取り組んできたキユーピーでは、現代病の1つである花粉症に対しても酢酸菌で貢献したいという想いを強く持っていました。
※・Yamashita S et al., Food and Nutrition Sciences. 2022; 13: 541-57.
・Tanaka T et al., Jpn Pharmacol Ther. 2022; 50: 2237-48.
・Oe M et al., Jpn Pharmacol Ther. 2022; 50: 2249-56.
・Yoshioka S et al., Jpn Pharmacol Ther. 2019; 47: 461-7.
・Kamijo F et al., Jpn Pharmacol Ther. 2019; 47: 1993-9.
そこで、キユーピーとご縁のある一橋大学の神岡太郎教授にご協力いただいて、マーケティングの力で酢酸菌を世の中に知ってもらうプロジェクトをスタートさせました。神岡ゼミの大学生がデザイン思考を使ってプランを策定。全6チームから素晴らしい提案をいただき、「スポーツ」に焦点を当てた2つの提案が採用されました。
提案の背景には、「花粉症で思うようにスポーツを楽しめない人が多い」という課題がありました。マスクをしての運動の息苦しさ、パフォーマンスの低下など、多くの人が悩みを抱えています。キユーピーでは、「花粉症の人たちのスポーツ活動を酢酸菌でサポートし、応援できる」ことに大きな可能性を感じ、この提案の実行を決定しました。
プロサッカーチームと社会貢献への想いが一致
このプロジェクトへの協力をお願いしたのが、静岡県にあるプロサッカーチームでした。クラブに花粉症で悩む選手が多いことを知っていた神岡教授から提携先として提案していただいたことがきっかけです。
静岡県は森林率が6割を超え、スギやヒノキの花粉飛散量が国内でトップクラスであるため、多くのスポーツ選手が花粉症に苦しんでいる現状があります。このプロサッカーチームでは、チームの勝利だけでなく、スポーツを通じて地域社会の課題解決や、子どもたちの育成・健康増進に貢献する活動を行っており、社会貢献を重視する企業姿勢はキユーピーと共通するものでした。
このプロサッカーチームのアカデミーでは、技術だけでなく人間性の育成にも力を入れており、「子どもたちにサッカーを通じて人として成長して、幸せになってほしい」という強い願いがあります。アカデミーの担当者は、年々増加する子どもの花粉症によるパフォーマンス低下を懸念しており、ドーピングの心配がない食品によるケアの重要性も感じていました。
両者の「子どもたちの健康を応援したい」という想いが一致。酢酸菌で花粉症ケアをすることで、子どもたちが全力でスポーツに取り組めるようサポートするプロジェクトに参加していただけることになりました。
プロサッカーチームで摂取研究を実施、効果を実感
例年花粉症に苦しむアカデミーの中学生選手やトレーナーを対象に、花粉の飛散量が増える1月から4月にかけて、12週間にわたる酢酸菌摂取による効果検証が行われました。今回の調査では、酢酸菌を摂取するグループと摂取しないグループに分け、2週間ごとに目や鼻の不快感、スポーツ活動への支障度合いを示すQOL(生活の質)に関するアンケート調査を実施しました。
※本調査は、倫理委員会の承認をいただき、保護者のご了解をいただいた方に参加していただいています。
調査の結果、酢酸菌を摂取したグループでは、目や鼻の不快感が抑えられ、スポーツ活動への支障を示すQOL指標の悪化が抑えられることがわかりました。このことは、酢酸菌が花粉症による症状を和らげ、屋外でのスポーツ活動をサポートできる可能性を示唆しています。
調査に参加したトレーナーからは「花粉症で練習に集中できなかった選手たちも、今年は症状が軽くなり、より良いコンディションで練習に取り組めていた」といった声が聞けました。また、選手からも「昨年までと違って、鼻水や目のかゆみが気にならず、プレーに集中できた」という喜びの声が寄せられました。チームドクターも「花粉症に悩んでいる選手は多く、薬は副作用の影響もあるため対策は非常に慎重に行っています。今回、酢酸菌を摂取することで効果が見られたのはとても興味深く、選手の花粉症対策の新しい選択肢として期待されます」と語ってくれました。
この共同研究の成果は、第22回日本機能性食品医用学会総会で発表され、若手優秀演題賞を受賞しました。今回の研究で明らかになった酢酸菌の効果は、屋外でスポーツをする子どもたちや、多くのアスリート、関係者にとって課題解決に向けた有望なアプローチとなりそうです。
酢酸菌の認知拡大と健康課題解決への挑戦を継続
プロジェクトでは今後も、研究の深化、社会貢献活動の2つを継続します。
研究の深化について、今回の取り組みでは重要な気づきがありました。それは、選手へのアンケート結果から、本取り組みがパフォーマンスに良い影響を与えている可能性が見られた点です。花粉症の症状が軽減したことに加え、酢酸菌が腸で働くことでパフォーマンスが改善した可能性も考えられます。今回の取り組みで得られた気づきは、今後の研究を深めるための貴重な一歩となります。これを次の研究につなげていきます。
社会貢献活動としては、世界的に急増し、特に若年化が進んでいるアレルギーの問題に今後も注目して取り組んでいきます。幼少期からアレルギーを予防することは、その子の人生のQOL向上に大きく貢献できるため、アレルギーに対する知識、予防法、対処法を、スポーツをする子どもたちやスポーツ関係者に発信していきます。また、花粉症の最大要因はスギ、ヒノキなどの森林であり、日本の国土は約7割が森林に占められていることから、森林は花粉症や私たちの生活と密接に関わっています。子どもたちが環境保全や森林保全に関心を持つようになり、SDGsへとつながる取り組みも進めていく予定です。
酢酸菌の大きな可能性を活かすために、プロジェクトの挑戦は続いていきます。






