研究・調査

21/09/08

No.95

【研究報告】ドレッシングを使って野菜をおいしく食べる

"ドレッシングが子どもの野菜嫌い克服につながる" 研究成果を学会発表

①クリーミィ野菜ドレッシングが野菜の苦味・青臭さを低減②深煎りごまドレッシングがピーマンの苦味・青臭さを低減
9月7日~8日に開催の日本調理科学会で発表

             

 キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:長南 収、以下キユーピー)は、97日~8日に開催の一般社団法人日本調理科学会2021年度大会(オンライン形式)において、ドレッシングに関する2つの新たな研究成果を発表します。2つの研究発表内容は、ドレッシングによる野菜の苦味や青臭さを低減させる機能についてです。

 厚生労働省が推進する「健康日本21」では、健康増進のために1日350g以上(成人)の野菜を食べることが目標とされていますが、全年代で不足しているのが現状です。子どもの成長にとっても野菜摂取は重要ですが、子どもの味覚は苦味・渋味を本能的に避けるといわれており、野菜独特の苦味や青臭さが野菜嫌いの一因にもなっています。今回の研究成果から、ドレッシングを活用することで、子どもの野菜嫌いを克服し、野菜をおいしく健康的に食べられるようになることが期待できます。

【研究の要点】

①「クリーミィ野菜ドレッシング(キャロット&オニオン)」が野菜の苦味・青臭さを低減
「クリーミィ野菜ドレッシング(キャロット&オニオン)」が、野菜の苦味・青臭さの低減に効果があることが分かりました。その効果は、食酢、卵黄によるものであり、さらに複数の原材料を配合していることが効果をより高めていると示唆されました。

②「深煎りごまドレッシング」がピーマンの苦味・青臭さを低減
「深煎りごまドレッシング」が、ピーマンの苦味・青臭さの低減に効果があることが分かりました。その効果は、食酢、食用油、しょうゆ、すりごまによるものであり、さらに複数の原材料を配合していることが効果をより高めていると示唆されました。

 キユーピーは、グループの長期ビジョン「2030ビジョン」に、“子どもの笑顔のサポーター”を掲げています。今後も研究を進め、食における課題の解決につながる情報を発信することで、子どもの豊かな食生活の実現に貢献していきます。

■研究成果の概要(発表内容からの抜粋)

演題①「ドレッシングによる野菜の苦味、渋味、青臭さへの低減効果」

※ 「クリーミィ野菜ドレッシング(キャロット&オニオン)」を使用。以下、「クリーミィ野菜ドレッシング」。

試験1:「クリーミィ野菜ドレッシング」は苦味・青臭さの低減に効果があるのか機器分析を行った。

<方法>
サラダで食べることの多いレタス、キャベツ、ブロッコリー、トマトにそれぞれ水を加え、フードプロセッサーで粉砕し、ろ過した。ろ液に「クリーミィ野菜ドレッシング」を添加し評価した。

<結果>
すべての野菜で、「クリーミィ野菜ドレッシング」添加により苦味が低減した(グラフ1)。また、それぞれの野菜の青臭さに関する成分が低減した(グラフ2)。以上より、「クリーミィ野菜ドレッシング」には、野菜の苦味・青臭さの低減に効果があることが分かった。

グラフ1 味認識装置:野菜の苦味
対照(水を添加した野菜の味の強さ)を0とした場合

グラフ2 香気分析:野菜の青臭いにおい成分(Student’s t-test, *:p<0.05, **:p<0.01)
対照(野菜のみ)の成分の面積値を1とし、相対値を算出した

試験2:「クリーミィ野菜ドレッシング」のどの原料が苦味・青臭さの低減に効果があるのか機器分析を行った。

<方法>
レタスのろ液に「クリーミィ野菜ドレッシング」の原料である卵黄、食用油、食酢、ニンジンピューレを添加し、機器により苦味・青臭さを評価した。

<結果>
各原料添加により低減効果が認められたが、苦味は特に食酢で(グラフ3)、青臭さは卵黄と食酢(グラフ4)の効果が大きかった。「クリーミィ野菜ドレッシング」は複数の原料を合わせて配合しているため、より効果を発揮していることが示唆された。

グラフ3 味認識装置:レタスの苦味
対照(添加なしの味の強さ)を0とした場合

グラフ4 香気分析:レタスの青臭いにおい成分
(Tukey’s test, 異なるアルファベット間に有意差あり, p<0.05) 対照の成分の面積値を1とし、相対値を算出した

演題②「深煎りごまドレッシングによるピーマンの苦味および臭いに対する低減効果」

試験1:「深煎りごまドレッシング」はピーマンの苦味・青臭さの低減に効果があるのか機器分析を行った。

<方法>
ピーマンに水を加え、フードプロセッサーで粉砕し、ろ過した。ろ液に「深煎りごまドレッシング」を添加し評価した。ピーマンは、生の状態、炒めた状態のそれぞれで確認した。

<結果>
「深煎りごまドレッシング」添加により、生のピーマンの苦味・青臭さが低減した(グラフ5、グラフ6)。また、炒めたピーマンも同様の結果となった。以上より、「深煎りごまドレッシング」には、ピーマンの苦味・青臭さの低減に効果があることが分かった。

グラフ5 味認識装置:ピーマンの苦味(苦味雑味)
対照(水を添加したピーマンの味の強さ)を0とした場合

グラフ6 香気分析:ピーマンの青臭いにおい成分
(Tukey’s test, 異なるアルファベット間に有意差あり, p<0.05)
対照の成分の面積値を1とし、相対値を算出した
学会発表から一部抜粋

試験2:「深煎りごまドレッシング」のどの原料が苦味・青臭さの低減に効果があるのか機器分析を行った。

<方法>
ピーマンのろ液に「深煎りごまドレッシング」の原料である食用油、食酢、卵黄、すりごま、しょうゆを添加し、機器により苦味・青臭さを評価した。

<結果>
苦味は食酢、しょうゆ(グラフ7)、青臭さは食用油とすりごま(グラフ8)による低減効果が大きかった。「深煎りごまドレッシング」は複数の原料を合わせて配合しているため、より効果を発揮していることが示唆された。

グラフ7 味認識装置:ピーマンの苦味(苦味雑味)
対照(水を添加したピーマンの味の強さ)を0とした場合

グラフ8 香気分析:ピーマンの青臭いにおい成分
(Tukey’s test, 異なるアルファベット間に有意差あり, p<0.05) 対照の成分の面積値を1とし、相対値を算出した

■研究成果を応用した、野菜嫌い克服につながるメニュー例

ブロッコリーとミニトマトのマカロニサラダ
(「クリーミィ野菜ドレッシング」使用)

ピーマンとパプリカのカラフルきんぴら
(「深煎りごまドレッシング」使用)


印刷時には、PDFデータをご利用ください。

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