その他

19/08/07

No.66

テーマは“発がんリスクを説明できるAI”

NEDOのAI技術開発事業のテーマに採択

マイクロRNAを指標とした食とがん発症との関係性の研究

 キユーピーは、国立大学法人 横浜国立大学(研究開発責任者:横浜国立大学 大学院環境情報研究院 長尾智晴 教授)、学校法人東京医科大学(研究開発責任者:東京医科大学 医学総合研究所 落谷孝広 教授)と共同して、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募する「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」プロジェクトに応募し、AIの信頼性に関する技術開発事業に採択されました。キユーピーは、本研究開発を通して、健康寿命延伸に貢献できる技術の実現を目指します。

 採択された研究テーマは「生体データを用いて発がんリスクを説明できる“高信頼性進化的機械学習”の研究開発」です。

 がんは、さまざまな生活習慣が複合的に関与する生活習慣病であり、食事とも深く関係すると考えられています。キユーピーは、食でがんを予防することを目的として、2013年から落谷孝広 東京医科大学 医学総合研究所 教授(当時、国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野 分野長)と共同研究を実施しています。この共同研究では①血液中に存在するマイクロRNAという微量成分の発現量と将来がんになるリスクの関係、また、がんの予防の観点から②マイクロRNA発現変動に対して特定の食成分が与える影響などに取り組んでいます。

             

図1 高信頼性進化的機械学習:従来の機械学習の精度と説明性を共に高めることで「説明できるAI」になる

 今回、公募事業に採択されたのは、このマイクロRNAのデータ解析に必要なAIの研究です。既存のAIでこの解析を行うには膨大なデータ数が必要になる上、その処理過程を人が理解することは難しく、解析しても判定根拠を示すことが困難であることがわかっています。そこで、本研究開発では、現在の機械学習の精度や説明性を高めた新規のAI「高信頼性進化的機械学習」(図1★印)、すなわち「説明できるAI」の研究開発をテーマとします。AIの開発は横浜国立大学が、医学的評価は東京医科大学が、データの収集や実用化はキユーピーが担当し、発がんリスクの判定への活用を目指します。

図2 本研究開発のプロセス

 発がんリスクとマイクロRNAの関係性が明らかになると、特定の食成分との関連性の研究を進めることができ、食事上の改善行動を促すことが可能になります。キユーピーは、将来的には、血液中のマイクロRNAを測定することで、将来の発がんリスクを判定するとともに、食生活の提案により適正なマイクロRNAパターンに導くヘルスケアサービスの展開を目指しています(図3)。

図3 将来的に検討するヘルスケアサービスのイメージ

 キユーピーは、「キユーピーグループ 2030ビジョン」において、2030年におけるグループのありたい姿の一つに「一人ひとりの食のパートナー ~食品メーカーから食生活メーカーへ~」を掲げています。キユーピーは今後も、一人ひとりの暮らしを見つめ、それぞれの食生活に合った提案を通じて、世界の食と健康に貢献するグループを目指します。

本研究開発の概要は以下の通りです。

1. 名称:

生体データを用いて発がんリスクを説明できる“高信頼性進化的機械学習”の研究開発

2. 各機関の担当概要:

横浜国立大学:高信頼性進化的機械学習の理論・方法論・応用システムの研究開発
東京医科大学:開発した機械学習技術に対する医学的見地からの信頼性評価およびデータの収集・分析
キユーピー:データの収集・分析および機械学習の有効性の検証、社会実装の検討


印刷時には、PDFデータをご利用ください。

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