研究・調査

17/05/24

No.33

「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に論文掲載

卵殻カルシウムがヒトの骨量を増加させることがわかりましたベトナムのハノイ国立栄養研究所との共同研究

 キユーピーは、ベトナムのハノイ国立栄養研究所との共同研究により、卵殻カルシウムがヒトの骨量を増加させることを確認しました。研究結果は2017年4月28日発行の「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」(日本ビタミン学会、日本栄養・食糧学会による共同編集の英文論文集)に掲載されています。

             

 カルシウムには、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、乳酸カルシウムなどの種類があります。その中でも炭酸カルシウムは豊富に存在し、石灰石、貝殻、卵殻などに含まれています。卵殻カルシウム(卵殻由来の炭酸カルシウム)は多孔質な構造から体内への吸収率が高いことが明らかになっていますが、他のカルシウム素材のように、卵殻カルシウムがヒトの骨に与える影響を長期的に検証した研究はありませんでした。一方、各国で高齢化に伴う骨粗しょう症の増加が問題になっており、カルシウム摂取不足が大きな要因の一つといわれています。ベトナムにおいても、高齢化が進行しており、健康に対する意識が高まっています。

             

※1:SOS(speed of sound):骨量の指標となる値。超音波による踵骨(かかとの骨)の透過速度を表している

 今回の研究では、ベトナム人女性(平均年齢約60歳)45人を、卵殻カルシウム(卵殻由来の炭酸カルシウム)サプリメント摂取、炭酸カルシウム(石灰石由来の炭酸カルシウム)サプリメント摂取、摂取なしの3つのグループに分け、12ヵ月間にわたり試験を実施しました。
 摂取開始から12ヵ月目の骨量を測定したところ、卵殻カルシウムサプリメント摂取グループは、他の2つのグループと比較して有意に骨量が増加していました。

 ベトナム人のカルシウム摂取量は1日約500㎎といわれており、目標量である1日1,000㎎には約500㎎足りていない状況※2です。また、60歳以上のベトナム人女性の約40%が骨粗しょう症であるという報告※3もあります。日本においても骨粗しょう症患者数は約1,280万人いると推計※4されています。

※2:NIN. General Nutrition Survey 2009-2010
※3:Hien VTT et al., Am J Epidemiol. 2005;161:824-830.
※4:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

 今回の研究結果は、卵殻カルシウムが骨の健康に寄与できるカルシウム素材として期待できることを示しています。

             

Tokyo University of Agriculture,35th Nutrition and Food Science summary, p124, 1981より改変

参考資料① 卵殻カルシウムの特徴

卵殻カルシウム(卵殻由来の炭酸カルシウム)は、その多孔質な構造のため、炭酸カルシウム(石灰石由来の炭酸カルシウム)と比較して胃の中で溶けやすく、容易に小腸で吸収されやすい形になります。成熟期のラットを対象とした研究結果によると、卵殻カルシウムを投与した群は、炭酸カルシウムを投与した群と比較してカルシウムの吸収率が約2倍※5になっていました。

※5:Tokyo University of Agriculture, 35th Nutrition and Food Science summary, p124, 1981

             

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版より改変

参考資料② 骨量の推移

骨量は20~44歳がピークで、その後徐々に減少していきます。特に閉経後の女性は、女性ホルモン減少のため、急激に骨量が減少します。その結果、骨粗しょう症と診断される領域へと進行してしまいます。骨粗しょう症は骨折の最大の危険因子であることはよく知られています。また、骨粗しょう症による骨折は、単に生活機能を低下させるだけでなく、その後の死亡率上昇リスクに関与していることもわかってきています。

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