研究・調査

16/09/01

No.47

<マヨネーズを調理に使って食の課題を解決>

マヨネーズを使った野菜調理の研究成果を発表

①マヨネーズ中の卵黄が野菜の苦味を低減させます ②マヨネーズを調理に使用することで減塩ができます8月28日~29日に開催された日本調理科学会で発表しました

 キユーピーは、マヨネーズの機能をいかした調理の工夫について研究を進めています。8月28日~29日に開催された、日本調理科学会平成28年度大会(会場:名古屋学芸大学 愛知県日進市)において、2つの新たな研究成果を発表しました。

 発表した2つの研究成果は、マヨネーズを使った「野菜の苦味低減」と「減塩調理」についての知見で、マヨネーズの原料である卵黄や酢の性質、卵黄型マヨネーズの特徴である“コク”に着目したものです。研究成果を調理に活用することで、野菜をおいしく健康的に食べることにもつながります。

【研究の要点】

①「マヨネーズによる野菜の苦味低減効果」
マヨネーズが、野菜嫌いの理由の一つである“苦味”をどのようにして低減するのかを研究しました。
研究結果からは、卵のうち「卵黄」の苦味低減効果が大きいことに加え、卵黄が酸変性していることマヨネーズが微細に乳化していることが、野菜の苦味低減効果を高めていると示唆されました。

②「マヨネーズのコクが減塩効果に及ぼす影響」
マヨネーズを加えることにより、食塩を減らしても満足度の高い料理を提供できる仕組みの解明を進めています。
研究結果からは、マヨネーズを調理に使うことで食塩を減らしても料理の風味の強さは変わらず、コクの強さが高まることが示唆されました。

 キユーピーでは、「おいしさ」や「健康」にかかわる「調理」に関する研究活動を継続的に行っています。今後も研究を進め、食における課題の解決につながる情報を発信することで、豊かな食生活の実現に貢献していきます。

■研究成果の概要(発表内容からの抜粋)

演題①「マヨネーズによる野菜の苦味低減効果 第2報」

【背景・目的】

過去の研究結果(第1報)から、油のかわりにマヨネーズで野菜を炒めると苦味が抑えられることや、それには原料の卵が関与していることが分かっている。今回の研究では、卵黄と卵白の苦味低減効果の比較、マヨネーズの乳化粒子の大きさや、卵黄たんぱく質の状態が苦味低減に及ぼす影響を調べた。

【評価方法】官能評価および機器測定

  • 官能評価:評価は採点法(苦味の強度を7段階評価)とし、パネルは研究員20名(男性12名、女性8名)とした。
  • 機器測定:(株)インテリジェントセンサーテクノロジー製 味認識装置SA-402Bを使用し、苦味を測定した。

試験1:卵黄と卵白の苦味低減効果比較

図1:卵黄・卵白添加ピーマンの苦味強度(官能評価)

(方法)
生のピーマンを粉砕し、水と1:3で混合した液(以下、ピーマン液)に、卵黄・卵白をそれぞれ加えて混ぜたものをサンプルとし、官能評価を行った。

(結果:図1)
卵白と比較して、卵黄の方が苦味の低減効果が有意に高かった。

試験2:マヨネーズの粒子の大きさが苦味に及ぼす影響

図2:粒子径の異なるマヨネーズを添加したピーマンの苦味強度(官能評価)

(方法)
乳化状態のみが異なる卵黄型マヨネーズをそれぞれピーマン液に加え、試験1と同様に官能評価を行った。粒子の大きさ=乳化状態の差とし、粒子の大きさを「手作りマヨネーズ相当(=粒径大)」と「工場製相当(粒径小)」に調整した。

(結果:図2)
マヨネーズの粒径が小さい方が、苦味の低減効果が有意に高かった。

試験3:卵黄たんぱく質の変性度が苦味低減に与える影響

マヨネーズ中では、卵黄は酢と混ざって、そのたんぱく質が変性していることから、酢と混合した卵黄の苦味低減効果を検討した。

(方法)
卵黄と酢を混ぜ1日程度静置したもの(酸変性卵黄)、および卵黄をそれぞれピーマン液に加えてサンプルとし、試験1と同様に官能評価を行った。また、加える酢の濃度を変えた酸変性卵黄を加えた場合の苦味の強さを、味認識装置で分析比較した。

図3: 酸変性卵黄添加ピーマンの苦味強度(官能評価)

図4:酢酸濃度の差による変性卵黄のピーマンの苦味低減効果
(相対値:酸を加えない卵黄の低減効果を0とした)

(結果:図3および4)
官能評価では、卵黄と比較して、酸変性卵黄の苦味低減効果が有意に高かった。
味認識装置の評価では、卵黄に加えた酢酸が濃いほど、苦みを抑制することが分かった。

 以上から苦味低減効果には卵黄が大きくかかわり、マヨネーズ中に含まれる卵黄が細かく乳化していることや、酢と混ざって変性することで、野菜の苦味低減効果が高まることが示唆されました。

演題②「マヨネーズのコクが減塩効果に及ぼす影響」

【背景・目的】

マヨネーズは、他の調味料と比較すると一食分の塩分が低いにもかかわらず味を濃く感じる人が多いことに着目し、マヨネーズの風味の特徴である“コク”が減塩効果に関わる可能性を検討しました。

【評価方法】

官能評価:評価は採点法(風味の強さ、塩味の強度を7段階評価)とし、パネルは研究員22名(男性7名、女性15名:0.07%の塩分濃度差を識別可能)とした。

マヨネーズのコクによる減塩効果の検討

(方法)
野菜(キャベツ)を油で炒め、塩で調味した油炒め(塩分濃度0.5%)と、卵黄型のマヨネーズを炒め油の代わりとして使い調味したマヨネーズ炒め(同0.16%)を作成した。同量を食べた時の風味の強さ・コクの強さをそれぞれ評価した。

図1:風味の強さ(官能評価)

図2:コクの強さ(官能評価)

(結果)
塩分濃度が60%減っているマヨネーズ炒めと油炒めで、感じる風味の強さに有意な差は見られなかった。また、マヨネーズ炒めは、コクの強さが有意に高かった。

 試験結果からは、適切な量のマヨネーズを調理に使用することで、食塩を減らして料理の風味を損なわず、さらにコクも付加できることが明らかになりました。

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