命を救うための「10分間」。私が救命講習を開催した理由。

2026.04.02

社会 その他

こんにちは。 キユーピー株式会社 総務部の牛込紀子です。
渋谷オフィスの衛生委員会の事務局を担当しています。従業員の健康維持を目的とし、産業医の先生と保健師さん、各部署の衛生委員が集まり、月に1回、衛生委員会を開催しています。先日、この衛生委員会の取り組みとして、初動の大切さと救命の基本を学ぶ「救命講習」を渋谷消防団の皆さんにご協力いただき、開催しました。今回の講習には、渋谷消防団から副団長を含む4名の方を講師にお迎えし、衛生委員に希望者が加わり、グループ各社から計27名が参加しました 。

「10分」これは、救急車を呼んでから現場に到着するまでの全国平均時間で、2024年のデータで約9.8分とのことです。救急車が到着するまでの間、その場にいた人が応急手当をするかしないかで、命が助かる可能性は約2倍も変わると言われています。渋谷消防署を訪問した際に、正しい初動措置によって一命を取り留め、社会復帰(普通の生活)ができた方は、実際に年間3〜4名いらっしゃるとお聞きしました。

講師を務めてくださった渋谷消防団の皆さん

2時間の「実技」で学ぶ、命の重み

講習は「普通救命講習」の内容に沿って行われました。事前にオンライン講習を済ませておくことで、当日は2時間の実技訓練に集中することができます。

訓練では、2人1組で1体の人形を使い、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行います。「倒れた人を発見し、救急車が来るまで」を想定して必死に圧迫を続けますが、全力で取り組んでも、経過した時間はまだ「2分」。AEDで電気ショックを与える瞬間以外は、絶え間なく圧迫を続けなければなりません。部屋の温度が上がるほどの熱気の中、参加者からは汗が滲みます。平均到着時間の「10分間」やり続けるには、相当な体力と強い精神力が必要であることを痛感しました。

救命が必要な場面での心構えを教えていただきました

私を突き動かした出来事

実は、私は以前にもこの講習を受けたことがありました。 改めて講習の場を社内で企画したのは、2024年4月に起きた私自身の経験があったからです。その日、病院へ連れて行こうとしていた私の父が、車の中で突然倒れ、動かなくなってしまいました。すぐに救急車を呼びましたが、激しく動揺してしまいました。電話口の救急隊員から「息をしていますか?」と聞かれても、パニックで判断がつきません。隊員の方に電話越しに声をかけてもらいながら必死に胸骨圧迫を行いました。動揺しながらも少しずつですが、「やるべきこと」を思い出してきました。もし講習を受けていなかったら・・・。心の底から、訓練の必要性を身をもって感じました。今回の社内での案内にも自分の想いを伝え、数名の方が申し込んでくれました。想いが伝わったと感じ、嬉しくなりました。

皆さん真剣に胸骨圧迫中、いつしか熱気で部屋の温度はどんどん上昇

1分1秒に想いを込めて

以前、災害派遣を4回経験された自衛隊の方から「自分たちが1分でも1秒でも早く出動できれば、1人でも2人でも多くの人の命を助けられたはず。悔しくて、毎回そればかりを考える」と聞いたことがあります。救急車が到着するまでの時間は、交通事情や救急車要請の増加により、過去より伸びる傾向にあるそうです。だからこそ、その場に居合わせた人たちによる「初動」の重みが、かつてないほど増していると思われます。命を救うための大切な10分間。いざという時、冷静に、そして悔いのない行動をするために。これからも、こうした学びの機会を大切にしていきたいと思います。

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