2009年09月17日
こんにちは。なかしま です。
食品会社にとって、昨今は「安全・安心」が生命線のようになっていますが、たまたまある話を読んでいて非常に考えさせられました。自分が食べ物の安全性を判断する五感は、著しく退化しているのではないか、ということです。
それは1972年にグアム島のジャングルに28年間一人で生き延びて、偶然発見された元日本兵横井さんに関するものでした。
私は当時中学生でしたので、漠然としつつ強烈な記憶が残っているだけですが、横井さんのジャングルでの生活を検証された医師の方が書かれたそのコラムを読むと、ジャングルには、当然のことながら私たちが一般に考えられる「用意された」食べ物は何もないわけです。
ジャングルには危険な物がたくさんあるので、飲み水も含めて何が食べられるか、何は毒があるか、病気になるか、という判断を毎日する、言い換えれば毎日命をかけながら食べ物を探す、ということです。口に含んで大丈夫そうかどうか、少しづつ試したり、虫が食べるものは大丈夫、食べないものは危険、と見ながら危険な物を避けたり、感性を磨かれたようです。
時には具合が悪くなりながら、少し食べるのをやめたり、ゆっくり食べたりと、自然に回復する術を体で感じ取りながら、それが28年間続いた、ということは非常に研ぎ澄まされた、危険を五感で察知するチカラ、自然治癒力を身に付けた、ということです。
現代は、食品であることはもちろん、構成している食材の種類、割合、カロリーなど情報が頭の中にすべて入り、安全性が目いっぱいになってから食する、というプロセスです。いまさら現代社会に住む私たちが昔には戻れませんが、五感の鈍りを何とかできないものか、と思いました。
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