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キユーピーアヲハタニュース

2012/2/22 No.20

★学会発表

卵黄レシチンを配合した流動食は
下痢を起こしにくいことがわかりました

2月23日(木) 第27回日本静脈経腸栄養学会(兵庫県神戸市)で発表
 キユーピーは、卵に含まれる機能性素材の活用について研究を進めています。病院・介護施設等で流動食によって栄養を補給する場合、摂食者の体質等の要因によって下痢が起こりやすいことが課題となっています。
 これまでに、乳化剤として卵黄レシチンを配合したモデル流動食を用いた試験において、卵黄レシチンが脂質の吸収を助けることがわかっており、流動食を摂食した際の脂肪性の下痢が起こりにくくなる可能性が示唆されています(※1)。
 そこで今回は、流動食に配合する乳化剤の種類が便の状態に及ぼす影響を確認するため、ラットを用いた試験を行いました。乳化剤として卵黄レシチン、合成乳化剤(※2)をそれぞれ配合した流動食を小腸広範切除ラットに給餌し、便の状態を確認しました(卵黄レシチン群、合成乳化剤群)。

※1 キユーピーアヲハタニュース 2011年No.8参照
※2 合成乳化剤:ショ糖脂肪酸エステル等

表1.各群で流動食に配合した原料

 その結果、卵黄レシチン群の便の状態は下痢状にならず、合成乳化剤群の便は下痢状となりました。このことから、流動食に卵黄レシチンを配合することによって、下痢が起こりにくくなることが確認されました。
 本研究は済生会福岡総合病院内科と共同で実施したもので、2月23〜24日に開催される第27回日本静脈経腸栄養学会(会場:神戸ポートピアホテル等/兵庫県神戸市)で発表します。

【研究内容の概略】
(方法) 乳化剤として卵黄レシチン、合成乳化剤をそれぞれ配合した流動食を調製し、以下に示すスケジュールで試験を行った。小腸広範切除を実施して下痢を起こしやすくしたラット(各群4匹)に、それぞれの流動食を摂取量が揃うように10日間給餌した。2日目から10日目までの便の状態を確認し、その状態を普通便から水様便まで4段階に分けて評価した。

表2.

(結果) 便の状態の観察結果を下図に示す。卵黄レシチン群の便の状態が普通便に近く、合成乳化剤群との間に有意差が認められた。この結果から、卵黄レシチンが、流動食摂食時に生じる下痢を起こりにくくしていることが示唆された。

表3.