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キユーピーアヲハタニュース

2008/11/28 No.76

★共同研究

<食物アレルギーと卵に関する共同研究>

オボムコイドを減らした加熱全卵入り粥の
アレルゲン性について共同で調査しました

11月29日、(社)日本アレルギー学会 第58回秋季学術大会(東京)で発表
 キユーピーは、藤田保健衛生大学小児科免疫アレルギーリウマチグループ、山田医院と共同でオボムコイドを減らした加熱全卵(卵を割って卵黄と卵白を均一に混ぜて加熱したもの)入り粥のアレルゲン性に関する調査結果を、日本アレルギー学会学術大会で発表します。
 日本では、鶏卵、乳製品、小麦の3つが食物アレルギーを引き起こす代表的な食品であり、乳児期の食物アレルギーのほとんどがこの3つに集約されます。鶏卵アレルギーの原因物質は、卵白に含まれるたんぱく質の一種であるオボアルブミンとオボムコイドと考えられています。なかでもオボムコイドは加熱してもそのアレルゲン性が失われにくいことが知られています。
 そこで今回の研究では、水洗いなどによりオボムコイドの量を減らした加熱全卵5.2g(鶏卵1個の約10分の1の量、オボムコイド量は0.35mg)が入った粥を、1〜9歳の鶏卵アレルギー児30名に経口摂取してもらい、アレルギー症状の有無を観察しました。結果は、1名が口腔内に違和感があったことと、2名が翌日に少量の軟便があったことのほか、27名には特別な症状は現れませんでした。よってオボムコイド量を減らした加熱全卵が入った粥は、ほとんどの鶏卵アレルギー児にとってアレルギー症状を起こしにくい食品であることが分かりました。
 食事からアレルゲンとなる物質を除去し、かつ栄養バランスを維持することは簡単なことではありません。原因となる特定の食物やその症状について正しい知識をもって対応していくことが大切です。キユーピーは、これからも卵や食物アレルギーに関する研究を積極的に進めていきます。
 <食物アレルギーとは>
 体を守る免疫機能が、時に過剰反応を起こし、食べ物を異物と認識して体に不利益な症状を起こすことをいいます。症状は摂取アレルゲンの量や年齢によって異なりますが、離乳期には赤い発疹や湿疹、離乳期から幼児期になるとじんましん・湿疹などの皮膚症状に加えて、お腹が痛くなるなどの消化器症状、あるいはせきやゼイゼイするなどの呼吸器症状が現れることが多くなります。原因食物もまた、年齢とともに変化します。適切な対処をすることで学童期前に約8〜9割が自然に治ります。しかし、学童や大人になって発症した場合には治りにくく、生涯にわたって続くことがあることも分かっています。

日本アレルギー学会発表内容の要約

<研究目的>
オボムコイドの量を減らした加熱全卵入り粥のアレルゲン性の評価
<評価対象>
鶏卵アレルギー児1〜9歳の30名
(9名は100℃で60分間加熱した卵に、13名は100℃で20分間加熱した卵に、6名は凍結乾燥卵白に、2名はオムレツやスクランブルエッグにアレルギー反応を示した計30名に試験を実施しました。)
<試験方法>
オボムコイドの量を減らした加熱全卵5.2g(鶏卵1個の約10分の1の量、オボムコイド量は約0.35mg)が入った粥を、鶏卵アレルギー児に少しずつ経口摂取してもらい、アレルギー症状の有無を観察しました。
<結果>
1名が口腔内違和感、2名が翌日に軟便の症状を示したほか、27名(90%)には特別な症状はありませんでした。
<結論>
オボムコイドの量を減らした加熱全卵入り粥は、ほとんどの鶏卵アレルギー児にとってアレルギー症状を起こしにくい食品であることが分かりました。

キユーピーの食物アレルギーに関する取り組み

アレルギー表示
表示義務のあるものだけでなく、アレルギー特定原材料25品目全てを表示しています。また、ベビーフードでは、重篤度、症例数が多い5品目(卵、乳、小麦、そば、落花生)の使用の有無をラベル正面に表示しています。
アレルギー配慮ベビーフード
アレルギー特定原材料25品目すべてに加え米を使っていないシリーズと、重篤度、症例数が多い5品目(卵、乳、小麦、そば、落花生)を使っていないシリーズのベビーフードを商品化しています。
アレルギー情報提供サービス
瓶詰ベビーフードのバーコードを携帯電話で読み込むことで、その商品のアレルギー特定原材料の情報が、その場で入手できます。
アレルギー診断食提供
専門の医療機関と共同で、アレルギー診断食を開発しました。アレルギーの原因特定に使われています。
食物アレルギー啓発DVDを無償配布
食物アレルギーの理解の輪を広げ、食物アレルギーの子どもを持つ方を応援したいとの想いからDVD「聞いてみよう!食物アレルギーのこと」を制作し、全国の保健所、保健センター、親の会などに無償配布しています。