キユーピーアヲハタニュース
2006/9/20 No.55
★研究結果

カット野菜原料の微生物データを学会発表
野菜の原料野菜は温度管理が重要
−キャベツ、レタスは10℃以下で保存すれば安心−
 
  キユーピーは、カット野菜の主原料であるキャベツ、レタスからは食中毒菌が検出されなかったこと(表1)、10℃以下で保存すれば主要な食中毒菌は増殖しないことを、第27回日本食品微生物学会学術総会(9月22日、大阪)で発表します。
 カット野菜は、野菜を収穫したらすぐに冷却し、その後の保管、輸送、工場での加工、陳列まで、すべて10℃以下(冷蔵)で管理しています。カット野菜ではこの温度管理が大切で、それがしっかりしていれば安心であるといえます。
 キユーピーでは、「良い製品は、良い原料からしか生まれない」という考えで、製品だけでなく原料の品質、取り扱いについても研究しています。

表1 カット野菜の原料野菜の食中毒菌
 
 原料野菜試験をした月
4月6月8月11月合計
サルモネラキャベツ0/120/160/160/200/64
レタス0/120/160/160/200/64
O157キャベツ0/120/160/160/200/64
レタス0/120/160/160/200/64
リステリアキャベツ0/120/160/160/200/64
レタス0/120/160/160/200/64
(分母:試験をした検体数  分子:食中毒菌が検出された検体数
【注】カット野菜の原料となる野菜は、季節ごとに産地が変わります。
そこで、4、6、8、11月に調べました。
O157   :腸管出血性大腸菌O157
リステリア:Listeria monocytogenes
【発表内容】
1.キャベツ、レタスから食中毒菌は検出されなかった
実験方法
4、6、8、11月に、カット野菜原料のキャベツ、レタス各64検体について、食中毒菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、リステリア(Listeria monocytogenes)を調べた。
実験結果
年間を通じて、食中毒菌は検出されなかった(表1)。
2.食中毒菌が付着しても10℃以下で保存すれば72時間は増殖しない
実験方法
食中毒菌がキャベツ、レタスに付着したときのことを想定し、試験を行った。
キャベツまたはレタス50gに滅菌蒸留水50gを加えてつぶし、食中毒菌であるサルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、リステリアを1万個添加した。
5℃または10℃、15℃で保存し、菌の消長を調べた。
実験結果
15℃では、キャベツでのサルモネラ以外、24時間後に増殖がみられた。しかし10℃で保存した場合には、72時間後でも増殖はみられなかった。
図1にサルモネラの場合の実験結果を示す。
図1 カット野菜原料野菜の保存温度とサルモネラの消長
左:キャベツ  右:レタス
 
【参考:カット野菜の日持ち技術】
カット野菜は生ものですから、単にカットしただけでは、時間とともに次第に萎えたり、変色したり、腐敗したりします。こうしたことを防ぐため、収穫した野菜はすぐに冷却し、その後の保管、輸送、加工、陳列まで、すべて冷蔵で管理しています。
包材の選択も重要です。酸素透過性がない包材を使用すると嫌気的呼吸となり、野菜からエチルアルコールなどが出て異臭が発生します。そこで、適度な酸素透過性を持つ包材を選択しています。
こうした工夫を重ねることで、株式会社サラダクラブのカット野菜の消費期限は製造後3日になっています。