キユーピーアヲハタニュース
2006/3/16 No.22
★研究結果

キユーピー研究所が学会発表
〜平均分子量1万以下の低分子ヒアルロン酸〜
オリゴヒアルロン酸は高分子ヒアルロン酸より
肌をしっとりとさせる効果が高い

3月28日に日本薬学会で報告

 キユーピーは、平均分子量1万以下の低分子ヒアルロン酸「オリゴヒアルロン酸」が肌に吸収されること、肌の水分量を増やし、しっとりさせる効果が高分子ヒアルロン酸より高いことを発見しました。3月28日に日本薬学会で報告します。
ヒアルロン酸は水分を保持する力が大きく、化粧品では一般的に平均分子量50万〜200万の高分子ヒアルロン酸が保湿成分として使われています。高分子ヒアルロン酸は分子量が大きいため肌には吸収されず、肌表面で保湿作用を発揮しています。




図1 オリゴヒアルロン酸による肌水分量改善効果
 
オリゴヒアルロン酸(平均分子量6000)または高分子ヒアルロン酸(平均分子量160万)の1%液をしみ込ませたガーゼを前腕部に24時間貼付し、ガーゼを除去して1、2、3日後の肌表面の電気伝導度を測定して、蒸留水をしみ込ませたガーゼを貼付したときとの差を調べました(肌の水分量が多いほど電気伝導度は大きくなる)。
オリゴヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸に比べ約2倍の肌水分量改善効果があり、効果も長く持続しました。


◇ ◇ ◇


【オリゴヒアルロン酸の調製】
ヒアルロン酸を酸で分解し、平均分子量6000のオリゴヒアルロン酸を調製しました。
【オリゴヒアルロン酸の肌への効果】
平均分子量160万の高分子ヒアルロン酸を対照とし、オリゴヒアルロン酸の肌水分量改善効果、肌吸収量を調べました。
1.オリゴヒアルロン酸は肌水分量改善効果が高い
実験方法
3cm×3cmのガーゼにオリゴヒアルロン酸または高分子ヒアルロン酸の1%液1mLをしみ込ませ、ヒトの前腕部に24時間貼付しました。ガーゼを除去して1、2、3日後の肌表面の電気伝導度を測定し、蒸留水をしみ込ませたガーゼを貼付したときとの差を調べました(肌の水分量が多いほど電気伝導度は大きくなる)。
実験結果
オリゴヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸に比べ約2倍の肌水分量改善効果があり、効果も長く持続することがわかりました(図1)。
2.オリゴヒアルロン酸は肌に吸収される
実験方法
1cm×1cmのガーゼにオリゴヒアルロン酸または高分子ヒアルロン酸の1%液0.1mLをしみ込ませ、マウスの腹部に貼付しました。1、3、5時間後にガーゼをはがし、皮膚に吸収されたヒアルロン酸量を測定しました。
実験結果
高分子ヒアルロン酸は皮膚にほとんど吸収されませんでした。それに対してオリゴヒアルロン酸は皮膚に吸収され、1時間後には0.1mg/g皮膚、3時間後には0.2mg/g皮膚、吸収されていました(図2)。



 
図2 オリゴヒアルロン酸の肌吸収量
 
【備考】ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は糖の一種で、分子量約400の基本単位がいくつも連なって一つの分子ができています。分子量の大きさで性質は変わり、分子量が大きい(連なる基本単位の数が多い)ほど粘度が高くなります。身体の中では皮膚や関節液、眼球、臍帯などに含まれています。
水を保つ性質が強く、ドライアイ用目薬などの医薬品や化粧品、さらには食品にも用途が広がっています。化粧品では一般的に、平均分子量50万〜200万の高分子ヒアルロン酸が用いられています。