食塩摂取と「適塩」
食塩摂取の現状
食塩に含まれるナトリウムは必須ミネラルの一つで、体内の水分調節に重要な役割を果たしています。
一方で、日本では食塩の過剰摂取が社会課題の一つになっており、摂取量の減少をめざすものと位置づけられています。食塩の過剰摂取は高血圧や胃がんなど健康に対するさまざまなリスクを高めます。
日本人は食塩を多く摂りすぎている
長年の食塩の摂り過ぎが、高血圧につながります
高血圧は血管や心臓への負荷を高めると言われています。日本人の血圧は加齢に伴いどう変化するのでしょうか。実際のデータを基に、食塩摂取量の違いによる影響を試算した結果があります。
もしも35歳の男性が1日当たり14gの食塩を摂り続けると、30年後には高血圧のレベルに達しますが、1日当たり7gだと30年後もそのレベルには達しません。
血圧は、歳を取ってから、急に上がるものではありません。早い時期から、食塩摂取量を適切にすることで、加齢による血圧上昇を抑え、高血圧を予防することができます。
食塩摂取量の違いがその後の血圧上昇に
与える影響についての試算
厚生労働省が産学官などの連携により立ち上げた食環境づくりの推進体制「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」(略称「食環境戦略イニシアチブ」)において、食塩の過剰摂取は必須テーマになっています。
キユーピーもこれに参画しています。
「適塩」とは
年齢、性別、活動量などにより適切な食塩摂取量は異なるため、私たちは「一人ひとりに適した食塩量により、おいしく食事をすること」を「適塩」と考えています。
低塩、減塩との違い
商品やレシピを低塩や減塩の商品、レシピと表わす場合、国が定めた栄養強調表示の基準をクリアしている必要があります。
- 低い旨の表示(低塩など):食品100gあたりのナトリウム量120mg(※)以下
- 低減された旨の表示(減塩など):比較となる商品からのナトリウム低減量が100gあたり120mg(※)以上かつ25%以上の相対差
- ※ナトリウム量120mg=食塩相当量0.3g
- 出典:食品表示基準 第7条、別表第13
適塩のポイント
適塩のための7つのポイント
食塩の摂取を抑える方法として、具体的には以下のようなことがあります。
- 新鮮な食材を用いる
- 香辛料、香味野菜や
果物の酸味を利用する - 食塩低減の調味料を使う
- 具沢山の味噌汁にする
- 味付けを確かめて調味料を使う
- 加工食品は食塩量が低いものを
選ぶ - めん類の汁は残す
適塩はちょっとした工夫から
食塩は適度に必要ですが、摂り過ぎてしまうことで血圧や心臓、脳機能など体にさまざまな影響を与えてしまいます。
そして、このような影響は若い頃からの食塩摂取量に関係しているので、健康だからといって油断は大敵。できれば、子どものころから今の自分に見合った「適塩」を身につけることが大切なのです。
残念ながら、和食に使われる調味料は食塩濃度が高く、日本人は濃いめの味に慣れている方が多い上に、「塩味」は「おいしさ」にも結び付くので減塩は難しいところがあります。そこで提案するのが毎食の「ちょっとした工夫」。
“ナトリウムを体外に排出させることに役立つカリウムや食物繊維を多く含む新鮮な野菜や果物をいつもより一皿多く摂る”
“お味噌汁やスープの具材を増やしてみる”
“だし・香辛料の活用”
“食材選択で食感を楽しむような調理法”
ちょっとした工夫が、一生の健康に役立ちます。「無理」や「がまん」は継続にはつながりませんので、自分ができる簡単でおいしい適塩を心がけてみてください。
食塩を摂りすぎないために
食塩は毎日の食事をおいしく食べるために大切な要素ですが、過剰に摂取し続けることは健康的な食生活を送る上で見直したい習慣です。
厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査の結果から、日本人の食塩摂取源の7割が調味料であることが示されており、これは伝統的調味料など食塩を多く摂る食習慣が根づいているからとも考えられています。食塩相当量が他の調味料と比べて比較的少ない調味料を活用するのも一つです。
マヨネーズは適塩の味方
マヨネーズは卵のコクや酸味があることで、他の調味料に比べて食塩量が少なくても料理のおいしさを補えます。
15g(大さじ約1杯分)あたりの
食塩相当量
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
野菜を摂ることも「適塩」に
野菜に多く含まれるカリウムには、ナトリウムを体外に排出する働きがあります。
そのため、食塩の摂取を抑制することに加え、カリウムを摂ることも重要と言われています。野菜をたくさん摂ることは適塩につながりますね!
※医師・栄養士より栄養指導を受けている方はその指示に従ってください。
カリウムを含む野菜
食をテーマにした講演会を
開催しています
食生活と健康についての正しい情報の提供を目的とした食をテーマにした講演会の中で、適塩についてもお伝えしています。